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SBSグループ 鎌田正彦社長インタビュー(中) 雪印物流のM&A成功で学ぶ
2021年2月2日
鎌田氏は一般廃棄物処理業をはじめ、カタログやダイレクトメールなどを個人宅へポスティングするメーリングサービス事業、物流コンサルティング事業や軽作業請負事業、そしてマーケティング事業や一般労働者派遣事業など、さまざまな事業へ参入し、グループとしての売り上げ向上、規模拡大に注力する。
平成15年、グループの売り上げは200億円に達し、上場できる規模まで拡大していた。同氏は迷わずジャスダックに上場する。
「とにかくまずは上場するということで進めたが、上場してからが大変だった」と同氏は振り返るが、「中小企業に毛の生えた程度で、コンプライアンスの徹底も図れていなければ、会社としての組織も不完全のままだった」という。同社では、こうした不備を、上場後に時間を掛けながら改善していった。上場を果たした翌年、同社に再びチャンスが訪れる。乳製品メーカー大手の雪印乳業が子会社の雪印物流を売却するという情報が入った。コンペには同社のほかに、同業大手やファンドも参加していたという。
「当時うちは全く無名だったので、最初は雪印側もうちには売りたくなかったのだろうと思う」と同氏はいう。しかし、コンペに参加した相手は、BSをどうするかとか、PLをどうするかとか、とにかく数字ばかりに目がいって、肝心の業務についてはほとんど触れていなかったという。一方、同社は鎌田氏自らプレゼンに行き、業務にスポットを当てて、ここをこうやれば効率が良くなるや無駄が省けるなどと具体的な提案を行い、一緒にやろうと呼びかけていた。
当初そっぽを向いていた雪印側も、同社の具体的なプレゼンに次第に耳を傾けるようになっていた。特に現場では、ファンドではなく、同社と一緒に仕事をしたいという声があがりはじめ、雪印側から同社に対する逆指名が掛かっていたという。
結果、ファンドを押しのけて同社が雪印物流のグループ化に成功する。M&Aを成長戦略の柱におく同社にとって、初めての大手物流会社のM&Aによるグループ化が成功した瞬間だった。
当時、同社は業界でも無名に近い存在だっただけに、雪印物流をグループ化したという情報は、業界内を一気に駆け回り、大きなインパクトを与えた。
雪印物流をグループ化できたことで、同社の名前は一気に広がっていった。ただ、社名が世に広がったこと以上に、このM&Aで、同氏はM&Aの本質について学び、そしてやり方、進め方について、確信を得ることができたという。
雪印物流をグループ化した後、平成17年に東急グループの東急ロジスティック、日本貨物急送、ティーエルトランスポートを、そして翌18年には、食品物流の全通をM&Aによって相次いでグループ化する。
その後も平成22年に日本ビクターの物流子会社であるビクターロジスティクスを、翌23年には、同じく日本ビクターのグループ会社である日本レコードセンターのグループ化に成功する。
M&Aによる事業規模の拡大を進める一方で、社内体制の整備も進め、平成24年に東証二部へ上場し、翌25年には、東証一部へ上場、晴れて大手企業の仲間入りを果たす。
創業から5年で年商25億円だった売り上げは、同氏が創業5年の時に描いた目標通り10年で100億円企業となり、20年で1000億円企業となった。まさに有言実行である。ただ30年では、目標2000億円に対し、1680億円と未達に終わったが、翌31年には2000億円を達成している。
その後も、同社はM&Aの手は緩めず、3年前の平成30年には、リコーの物流子会社であるリコーロジスティクスをグループ化すると、昨年、東芝の物流子会社である東芝ロジスティクスのグループ化に成功する。(続く)
◎関連リンク→ SBSグループ 鎌田正彦社長インタビュー(上) 裸一貫から年商4000億円
◎関連リンク→ SBSグループ 鎌田正彦社長インタビュー(下) 次なる目標は年商1兆円企業
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