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物流ニュース
SBSグループ 鎌田正彦社長インタビュー(下) 次なる目標は年商1兆円企業
2021年2月10日
雪印物流から始まり、東急ロジ、全通、ビクターロジ、リコーロジ、そして東芝ロジと、名だたる物流会社のM&Aを成功させ、気が付けばSBSグループは年商4000億円を見込めるまでに成長した。
M&Aを成長戦略におく同社は、M&A失敗の経験から平成15年、ジャスダックへ上場を果たす。しかし、M&Aといっても競合には名だたる大手路線会社などが居並ぶ。こうした中で、社歴も浅くいわば新参者の同社がなぜ、名門メーカーの物流子会社をグループ化できたのか。
当然、M&Aの際は、コンペになるため、他の大手物流企業とプレゼンで競っている。
鎌田氏は、これについて、明確な答えを持っている。「M&Aの場合、買う側と買われる側では、どうしても買われる側の立場が弱くなる」とし、「通常は、買った側の会社の下に買われた会社を紐付け、子会社という形になるが、それでは買われた側に劣等感や反発心が芽生え、組織として機能しなくなる可能性も高い」という。その上で、「うちは買ったとか買われたとかは関係なく、上とか下とかもない。我々は仲間なんだ、ファミリーなんだという姿勢」だと指摘する。事実、同社には子会社という観念はなく、グループ内はみんな仲間という体制で垣根がない。役員人事でも、グループ化した会社の役員をグループ間で行き来させるなど、交流を持てるようにしている。
「グループ化したからといってリストラはせずに、みんなで無駄を省き、効率化を図りながら業績を上げていこう」と。「売る側の親会社も、自社の社員の幸せを一番に考えているので、そうでない会社なら売りたくはならない。自分たちの物流も止まらずに、さらに売った相手の会社がしっかりと成長してくれるように願っている」とし、「売却価格が高いとか安いとかではなく、そういうところがとても重要」だと指摘する。
「買った会社は子会社ではなく、あくまで仲間、同志」。これが同氏の根本的な考え方であり、それがM&Aを奏功させている要因だと言う。
さらに、多種多様で豊富な人材が同社の強みでもあるというが、同氏は、「いろいろな業種からいろいろな人に来てもらっている」とし、「違う経験をしてきた人たちが交じり合い、会社を強くする」とし、「うちは中途採用の多国籍集団だから、違和感がない。それが多様性、そしていろいろな価値観を持つ、いわばダイバーシティ」だという。それを可能にしたのは、まさに同氏の経営方針によるものだが、それができるのも、「もともと脱サラのちっちゃなベンチャー会社だから」と笑う。
今後、まだまだM&Aの需要はあるという同社は、物流子会社、そして、後継ぎがいないなどで悩む中小運送会社に対するM&Aという2本の柱で進めていくとしている。
年商4000億円を達成し、次なる目標として、年商1兆円企業を目指す。「売り上げが1兆円あればロジスティクス企業でナンバーワンになれる」とし、「社内でも、そうなろうよといつも呼びかけている」という。「1兆円企業になれば、会社がつぶれる可能性も限りなく低くなるし、給料もボーナスも上がる。どこと戦っても負けない組織にだってなる」とし、「そうすれば自分の子供も入社させたくなるはず」だと話す。
その上で同氏は、「1兆円はいつ達成できるかはわからないが必ず達成できると思っている」とし、「達成した後も、少しずつでも成長させていける、そんなDNAを残していく。それが私の使命でもある」と、自身の役割について、そう話している。
◎関連リンク→ SBSグループ 鎌田正彦社長インタビュー(上) 裸一貫から年商4000億円
◎関連リンク→ SBSグループ 鎌田正彦社長インタビュー(中) 雪印物流のM&A成功で学ぶ
◎関連リンク→ SBSホールディングス株式会社
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