Now Loading...
 
  • 物流ニュース

    危険物輸送 商品特性と用途を知ることが関係強化にも一役

    2009年10月7日

     
     
     

     「荷主から出荷される物が何なのかを、今回の経済危機ではじめて知った」と、危険物輸送を主力に展開する運送事業者。荷物の特性に見合った輸送が業界に求められるようになって久しいが、日々の業務を漫然とこなすことに甘んじていた実態が伺われる。荷物の特性を知りえたところで、なしうる努力や輸送の側から見たリスクの囲い込みに限界があることも要因となっているようだ。


     この事業者が告白するのは、ドラム缶に入った液体輸送に関するもの。出荷元の荷主が化学薬品メーカーであることから「危険物」とは漠然と認識していたが、詳しく聞かされることもなく、また説明を求めることもしてこなかった。
     出荷量が激減したのが、昨秋の「リーマンショック」以降。フル稼働期の2割にまで出荷が落ち込んだ。ここで初めて事業者は、ドラム缶の液体が何に使われるのかを荷主に尋ねた。
     分かったのは、銅線などを浸して樹脂膜を作る液体だということだった。樹脂膜で覆われた銅線はおもに自動車部品メーカーに納品されるということも。リーマン・ショック以降の経済収縮が国内では製造業、とくに外需依存の大きい自動車や家電メーカーの減産として顕著に表れている旨が伝えられ、事実と符合した。
     こうした事例を今年に入って数件耳にした。輸送している物が何なのか、どのように使われているのかを知らない事例は意外と少なくないようだ。
     輸送している物を知っておくことは、事故時の緊急対応などに不可欠なことから、危険物輸送に携わる事業者の間では常識となっている。しかし輸送物が、どのように使われているのかを知ることは輸送事業者の「義務」との認識までには至っていない。次から次へと流れ作業的に出荷されるものの用途を知るには限界もある。
     別の危険物輸送業者は、「私たちは車を用意してくれといわれれば用意し、人を雇い入れるのが仕事。納品先である程度の用途は分かるが、例えば温度管理以上のものは要求されていない」と話す。この事業者も昨秋以降、主要荷主からの出荷が3割以上落ち込んでいるが、即減車にはつながっていない。むしろ、トラックをトレーラへと大型化することを考案するなど積極的だ。
     物の特性までは認識しても、用途への適確な認識がなくて大丈夫か。機械製品を輸送する事業者は、物の特性や用途を考慮しない輸送には懐疑的だ。自社敷地内には小規模ながら「デポ兼技術研究所」を備えている。
     この施設について社長は「荷主の要望に応えることはもちろんだが、荷主にアドバイスするため」と話す。勉強しておかないと荷主との関係強化にはつながらないとの認識からだ。
     運ぶ機械がどのように作られ、どのように使われるのかまで、基本的には理解が可能だという。もっとも、機械の構造や用途がいくら分かっても、出荷の減少には対処しがたい。それゆえ、荷主の数だけでなく、分野も分散しておく必要性を常に心がける。
     同社長は「リスクヘッジのためにも分散は必要。しかし、営業体制も整わない通常の業者では並大抵ではない。製品特性や用途を知ることで『便利屋』的に振る舞えば、口コミでなぜか仕事は舞い込んでくると信じている」という。

     
     
     
     

    この記事へのコメント

     

    コメントをする

    ※コメントを投稿することにより、利用規約をご承諾いただいたものとみなします。

    内容をご確認の上、送信してください。

     
     
  •  
  •  
  • 「物流ニュース」の 月別記事一覧

     
  • 物流ニュース」の新着記事

  • 物流メルマガ

    ご登録受付中 (無料)

    毎週火曜に最新ニュースをお届け!!

    ≫ メルマガ配信先の変更・解除はこちら