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物流ニュース
日本ロジテム 「ゆっくり便」で新境地開拓
2009年12月1日
日本ロジテム(中西弘毅社長、東京都港区)は11月2日、新商品「ゆっくり便」の営業を開始した。電子部品が対象で、納期に余裕を持たせる代わりに運賃が2割引になる。物量が大きく減少した電子部品について、コスト面から荷主への訴求を行い、新規顧客の開拓につなげる構え。
納期ありきの物流業界で、逆転の発想とも言えるサービスで巻き返しを図る。島森憲之業務部長兼営業企画課長(写真)に話を聞いた。
同サービスは、同社の既存商品「EDISON」の一部として提供する。「EDISON」は翌日配送を基本とした電子部品共同配送システムで、現在、月間で約8万ケースの物量がある。
しかし、「ピーク時の10万ケースに比べると、荷量は7割前後」とし、「取り扱いのある2営業所で、2トン車と4トン車合わせて40台が稼働。1台あたりの積載率は5、6割程度で軽自動車を走らせる場合もある」(島森部長)というのが現状。この落ち込みを回復させるための起爆剤として開発された。
「ゆっくり便」は、リードタイムを「発送日から2日以内」とし、納期に現行よりも1日の余裕を持たせることで、「配送効率を上げ、お客にコスト削減を提供する」というのが基本コンセプト。「現行運賃の20%をカット」がセールスポイントだ。対象エリアは東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県・成田エリア、静岡県で、「在庫補充や乙仲業者向けの海外輸出貨物、社内間移動の荷物など、1日、2日を争うような貨物でないもの」がターゲットだ。
既存顧客へのリサーチを通して、同社は全体の5%程度を「ゆっくり便」への切り替え可能な貨物と見る。「(貨物量の)5%を20%引きの運賃にしても、売り上げマイナス分の1%は新規の物量増でカバーできる」という計算だ。
新規顧客には現場のドライバーによる営業を採用。同サービスを扱う羽田、伊勢原の両営業所では、同社初の試みとしてドライバー全員に名刺を持たせる。専用チラシも作成し、ドライバーは集荷先や納品先でサービスを説明。ドライバーの提案ですでに新規受注が1件成約している上、「ドライバーとしても、モチベーション向上につながっているようだ」という効果も出ている。
営業開始から約2週間で、「検討中が7件、ゆっくり便も含めた提案の要求が30件、既存顧客の取り扱い拡大依頼が20件。別事業の保管の話が1件」と成果は着実に表れている。
「徹底的なコスト管理削減に取り組む電子部品業界に対して、コストメリットを提供しうる商品」という「ゆっくり便」をきっかけに、「かつては当社の4番バッターだった」(宮村隆二経営企画室長)という「EDISON」を、ピーク時の月間10万ケース程度に回復させるのが目標だ。
専用チラシには、寝ているウサギと前進するカメのイラストが配され、「急いだところで寝ている貨物がありませんか?」というメッセージが込められている。
◎関連リンク→ 日本ロジテム株式会社この記事へのコメント
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