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    誇れるのは「付加価値」 ローランド・ベルガー遠藤会長

    2010年1月25日

     
     
     

     「リーマン・ショックによる落ち込みは、これまでの不況とはワケが違う。『新しいルールで、新しいゲームが始まった』という認識を持たないと生き残りは難しい」と警鐘を鳴らすのは、ローランド・ベルガー会長の遠藤功氏だ。
    同氏は2010年を「次の20年、30年の出発点。後から振り返った時に、『ああ、あの時から始まったな』と思い返す年になるはず」と位置づける。


    
 経済の展望については、「どうなるかはっきりとは分からないが」と前置きしたうえで、「『2番底』という話もあるし、楽観しないほうがよい。いずれにしても、中国頼みであることは確かであり、仮に急激に良くなったとしても、その反動が出てくる危険性もある」と話す。
     また「業界による差ではなく、波に乗れる・乗れないは会社によって差が出てくる。これは『新しいルール』に気づくかどうかの差。過去のやり方を踏襲していてはダメ」と厳しい。
    0125r.jpg 「2009年は、生き残りをかけた『我慢』の年だった。しかし、我慢していても、景気が昔の水準まで回復することはない。『景気が上向くのをじっと待つ』という昔のやり方にしがみついていては乗り遅れる」
     リーマン・ショック以降、地殻変動とも呼べる動きが起こり、経済構造はドラスティックに変化した。「サントリーとキリンの統合が象徴的。あれほどの大きな会社でも、数十年後に生き残るには、単独では難しいという判断をしたということ」。世界に目を向ければ、アジア圏諸国の台頭は目覚ましく、日本の相対的な地位は下がっていく一方だ。
     では、日本企業はどこで勝負するのか。この問いに、同氏は「『体格』ではなく、『体質』で勝負すること」と回答する。「たとえばインドのタタが20万円の自動車を作ったが、あれを日本企業は作れないし、作る必要もない。日本企業が誇れるのは、何と言っても付加価値の高い製品やサービス。いずれ『ほどほど』の製品までも中国やインドが作るようになる。日本企業は自分たちがやるべき新しいマーケットを作り出し、質をもっと高めていく努力をしなくてはならない」。
     これは、何も「メイド・イン・ジャパン」の製造業だけの話ではなく、「質の高いサービスを提供する」という意味で物流業界にも当てはまる話だ。「キーワードは『最高品質、最高機能、最高サービス』。この3つが日本の生命線」と同氏が説く中で、物流は「最高サービス」に該当するだろう。例として、同氏はヤマト運輸の宅急便の上海進出を高く評価する。
     内需拡大にも大きな期待が持てない中、生き残るには「共食い」ではなく、「新しい成長市場」を求めることが必要だ。「中堅・中小でも考え方は同じ。今後30年でどんな会社にしていきたいかという展望、つまり『旗』を掲げ、その上でどれだけ戦略的な考えを持てるかどうか。新たな価値を創造するような、元気の良いチャレンジング・カンパニーが今年、1社でも2社でも出てくることを期待している」。
    ◎関連リンク→ 株式会社ローランド・ベルガー

     
     
     
     

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