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物流ニュース
エコ配 「価格」と「環境」で急成長
2010年7月30日
「景気が悪い」と聞かない日はない物流業界で、着実に業績を伸ばしている企業がある。東京ー大阪間を1個330円で宅配するエコ配(東京都中央区)だ。
「成長の余地はまだまだある」と語る田中学社長に話を聞いた。
同社は現在、1都3県に愛知、大阪、京都、兵庫のオフィスや工場エリア限定で、一律330円という低価格で宅配サービスを展開。拠点数は22か所、ドライバーは350人を数える。軽自動車156台、自転車142台を保有しているが、オフィス街で見かける自転車便が印象的だ。
ジャパンブリッジ(物流工作)の「250エクスプレス」を引き継ぐ形で07年に設立された同社だが、今では月間で約60万個の荷物を取り扱うまでに成長。田中社長は、「ドライバーが集荷してくる荷物一つひとつの積み重ね」と控え目だ。
大手がひしめく宅配市場で新規顧客を獲得できている理由について、「330円という価格設定に競争力があるのはもちろんだが、『環境』というコンセプトも大手荷主に対しての切り口になる」と説明。7万社を超える顧客の構成は法人7割、個人3割。特に、競合大手が積極的に営業をかけていない中小企業をターゲットにしている。
もちろん黙って待っていれば荷主が来てくれる訳ではない。「すべてのドライバーをセールスドライバーと位置付け、月4件の新規獲得の目標を掲げている」とし、「他社に奪われることもあるが、約300人のドライバーが力を振り絞り、毎月、平均1000件の口座開設を実現している」。
この積み重ねが前年比1割増という結果につながっているという。「昨年3月の繁忙期に60万個だった取扱個数が、今年は値上げしたにもかかわらず、66万個を突破。5月も54万個(昨年は47万個)で、順調に伸びている」。年商も08年の16億円に対し、09年は21億円を記録している。
新規事業にも積極的だ。オフィス向け置き菓子の設置サービスや、手渡しでDMを配布する広告サービスなども開始。「事務所の中まで入っていけるというドライバーの優位性を活用しない手はない」。
また、7月から「メール速達便」をラインナップに加えた。同じくエリア限定だが、150円で送り先のポストに翌日投函するというサービス。「アイテム数が少ないという課題と潜在ニーズに応えるために開発した。既存インフラを活用できるサービスは、どんどんやるべき」という。「当社がターゲットにしている中小企業の宅配市場はニッチだが大きく、まだまだ広げていける余地はある」としながらも、「限界も必ず来る。事業の柱を増やしておく必要性は常に感じている」と先を見据える。
今後の展開について、「『エコ配』を知っている方はまだまだ少なく、知名度を上げていきたい。それが業績だけでなく、ドライバーの自信や誇りにつながる」。また、「通販、Eコマース、個人オークション市場にも広げていきたい」という。「特に個人間の配送では、正規の宅配料金を払われている方が圧倒的に多い。。そこでの330円は競争力があるはず。もちろん、生半可な取り組みでは、一般消費者の満足は得られない。下手すると大きな痛手を被る可能性もあるが、挑戦する価値はある」。
◎関連リンク→ 株式会社エコ配この記事へのコメント
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