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    運賃下落に拍車 広がり見せるリバースオークション

    2010年8月13日

     
     
     

     「リバースオークション」の名目で、荷主側が低価格の運賃を提示、これに複数のトラック事業者が「競り下げ」合って安い仕事を「落札」するというケースが増えている。
     「運賃オークション」とも呼ばれる新方式だが、従来の単純なダンピングとは比較にならないほど地域の同一業種・業態の運送事業者を巻き込み、「実勢運賃の低水準化」に拍車を掛けている。「体のいい『買い叩き』」との批判が相次ぐ中、公取委は「参加が自由であり、途中で(入札を)やめるのも自由なら違法とは言い難い」と慎重な構え。新手の「運賃値下げ圧力」は、適正運賃収受の実現を目指す物流業界にとって大きな障壁になりつつある。


     「リバースオークション」は文字通り、「売り手」と「買い手」の立場が逆になり、買い手が示す「低価格」に向かって複数の売り手が「競り下げ」合い、「落札」すれば取引が成立するというもの。物流では、荷主が希望する「低価格(運賃)」を提示、これに物流事業者が競って入札することになる。自由経済市場での「商品・サービス価格の最適化と品質向上」というメリットが強調され、10年ほど前に米国から入ってきた新方式だが、トラック業界に大きな脅威となりつつある。
     先ごろ開かれた東ト協の輸送委員会で、「新宿区がリバースオークションを導入し、事業者に『競り下げ』合戦を演じさせている。落札した金額は、それでなくても低い実勢運賃の半額程度。どうにかならないか」との苦情が出た。発言した委員は、「新宿区だけでなく、国が先頭を切って競り下げ入札を行っている」と指摘する。国交省に問い合わせてみると、確かに建設資材関連の調達などで、かなり以前から導入しており、その後、広く官公需で広まっていることが判明した。
     茨城県のある中堅物流事業者は、「倉庫間輸送の運賃でオークションがあった。仕事のない今、背に腹はかえられず『落札』したが、ひどい運賃だった」と振り返る。
     リバースオークションを導入した荷主企業の多くは「コスト削減」が最大の狙いで、トラック運送では多くが「運賃」だけに的が絞られ、輸送商品・サービスの品質は無視されているという。「色々な条件とともに金額を明示して入札するのがこれまでのやり方。運賃オークションは限りなく安値に向かうだけ」と憤る声もある。
     ある海コン輸送業者は「運賃オークションで東京―横浜のラウンド運賃(往復運賃)が2万円台になってしまった」と嘆く。距離換算80キロで、現在の実勢運賃は3万4000円前後。最後の海コン認可運賃といわれる昭和58年の認可運賃では8万3500円だったから、「2万円台で40フィートの海上コンテナを運ぶとは、我ながら情けない。荷主との絡みで参加せざるを得なかった」。
     「買い叩き」の批判に対し、荷主企業側は「身内同士とはいえ情報は公開しており、何度でも入札できるのでオークションは公正」と主張。公取委も、「参加も途中放棄も自由なら違法とは言い難い。安い運賃が嫌なら最初から参加しないことだ」と説明する。
     ただ、「グループ企業などで親企業から『オークションには絶対に参加しろ。そうでないと仕事は回せない』とでも言われたら独禁法違反の疑いもある」と指摘。理由は様々だが、オークションに参加した物流事業者の多くは、「新方式の名を借りた巧妙な運賃値下げだ。全ト協などで実態を調査し、対策を講じてほしい」と話す。

     
     
     
     

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