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物流ニュース
競技人口は2億人以上、eスポーツ導入のメリット
2021年12月16日
野球やバレーボール、ボウリングなど、社内に部活を導入している会社は多い。社員同士のコミュニケーションや仕事のモチベーションアップ、運動不足解消などが導入の理由として考えられる。そんな社内の部活に、「eスポーツ」を導入する会社が増えており、物流業界でも、導入企業がある。
日本国内のeスポーツの普及と発展に努めている日本eスポーツ連合(JeSU、岡村秀樹会長、東京都中央区)によると、「eスポーツ」は、「『エレクトロニック・スポーツ』の略で、コンピューターゲームやビデオゲームなど電子機器を使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称」としている。
「eスポーツ」は、アメリカや韓国、中国など、世界の競技人口が2億人以上いるといわれ、市場規模も拡大を続けており、その上、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一か所に集まらなくてもオンラインで対戦できることから、注目度も高まっている。
そんな「eスポーツ」を部活として導入する会社が増えていることについて、JeSUは「IT業界を中心に、イベント業界や出版社、大手自動車メーカーなどで、コミュニケーションの活性化や福利厚生、採用活動のために導入しているところが多い」としている。
「テレビゲームといっても、勝ち負けを決める真剣勝負のスポーツ競技で、練習やコンディションも重要。仕事との両立もできる」とし、「オリンピックの正式種目に採用されることを視野に入れ、日本では国体の文化プログラムとして全国規模で競技を行い、広めていきたい」という。
西大寺運送 仕事のモチベーション向上、離職率低下につながる
西大寺運送(入倉栄作社長、岡山県岡山市東区)は2019年から「eスポーツ部」を結成している。
同部は若手求職者からの注目度や求職率上昇を目的として設立された。取締役の入倉瑞生氏は、「岡山県は有名なプロチームが存在し、公認の部を持つ高校もあるほど盛んな地域。今はコロナ禍で難しいが、当社は、元々、社員同士で仕事終わりに休憩室に集まってゲームで遊ぶ文化があった。若手求職者に注目され、親しんでもらうにはピッタリではないか」としている。
同社は全国都道府県対抗eスポーツ選手権で有名サッカーゲーム「ウイニングイレブン」で出場。岡山県大会決勝まで勝ち残っている。延長戦の末、惜敗した同社だったが、こうした活動が実を結び、高校生からeスポーツ部がある企業として求人の問い合わせもあったそうだ。大会はコロナ禍ということもあり、オンラインへ移行しているものの、部内では活発な練習が続いているという。
同部の部長でもある明松裕士係長は、「eスポーツをきっかけに若手とベテランが交流しやすくなり、仕事に対するモチベーションや業務クオリティ、チームワークも向上した。若い新入社員が会社に溶け込む良いきっかけにもなった。実際に部活メンバーの離職率は低い」と話す。
入倉氏は今後の展開として部のコンテンツ強化と共に、eスポーツを通じた企業間交流を検討している。同氏は、「物流企業で部活動は困難な部分があるのは確か。しかし、eスポーツがきっかけとなり、遠隔地に新たな仲間を見つけることができたり、異業種のお客様と心理的距離を近づけることもできるのでは」としている。
大阪デリバリー 求人コスト大幅削減へ、求人で目を引くきっかけに
「物流のプロがゲームを制す」。物流サービスや物流人材、物流スペースの提供を手がける大阪デリバリー(木田晃敏社長、大阪府箕面市)では、2019年8月から事業としてeスポーツチーム「Team OE」を創設し、eスポーツ活動を行っている。
同チームは、eスポーツの大会出場やオンライン練習、オフライン合同練習などの活動を展開しており、一つの大会で優勝することを目標に掲げている。
ゲームやネット関連の企業に比べ、物流企業では無縁と思われるeスポーツ事業を開始したきっかけとして、木田晴孝副社長は、「とある従業員から『自分のゲーミングチームを作ることが夢だった』というのを聞いたのがきっかけ」とし、「やる以上、本気でやることが大事」としたことから事業開始に至ったという。
チームメンバーは入社して半年以上経過している従業員から募集し、週4日は同社の通常業務を行い、週1日での活動が行われている。
木田副社長は、「同事業を開始してから今まで関わりのなかった他社の方からのお声がけがあったり、特に求人で目を引くことができ、求人コストを大幅に削減することができたことから求人力強化につながっている」とし、「普段、対面でのコミュニケーションが上手くできない社員もオンライン上だと、自分の意見を交えて会話できたりと社内のコミュニケーション力向上にもつながっている」と効果についてコメント。
今年度4月に入社してきた新入社員からも8人ほど入部希望者が出ており、「本当にやる気のある人材を入部させて勝てるチームに育てていきたい」と示し、今後の活躍が期待される。
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