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    ドライバーがフォークリフトも 常態化の影に大きなリスク

    2010年9月6日

     
     
     

     運ぶだけでよかった運送サービスに付加価値がつき、ドライバーの仕事の範囲はどんどん増えている。荷下ろしや荷積みの際、ドライバー自らがフォークリフトを運転するのは常態化し、いまやトラックを運転するだけではなくなった。
     これが事業者の付加価値につながることもあるが、ボランティアでしかないこともある。しかし、常態化しているサービスでありながら、任意保険の加入の不備など、環境整備されていない曖昧さから、後に大きなトラブルに発展するケースも予想される。


     荷下ろし先などでトラックドライバーがフォークリフトを運転するため、フォークリフト資格を取得させる事業者が目立ってきている。
     埼玉県の食品輸送を手掛ける物流事業者は、ドライバー全員に会社負担でフォークリフト資格を取得させている。「フォークリフトを運転できないというのは、うちではもう考えられない」と話す同社の社長。「運賃に反映しているわけではないが、荷主のつなぎとめになっている意味では付加価値といえる」と説明する。
     一方、千葉県の物流事業者もフォークリフトの資格取得を推進している。しかし、運賃に反映されず経費が捻出できないことから、資格取得への補助はできないのが現状だ。そのため、同社社長によると、単なるボランティア作業でしかないという。
     「付加価値」「ボランティア」、考え方は違うが、すでにフォークリフトの運転は当たり前になっている。しかし、問題は任意保険に加入しているかだ。
     例えば、大手企業の物流センターや、空港など行政が管理する施設内であれば、フォークリフトを使用する場合は保険加入が条件とされるなど、対策が講じられ、当然、ドライバーのフォークリフト運転資格の有無も厳密に管理されている。
     しかし、そうではない一般の荷主、とりわけ中小企業であれば、そうした対策が講じられていないケースも多々見受けられる。資格を確認せず、フォークリフトを使用させるところも少なくない。
     そこで事故が発生した場合、荷物であれば貨物保険で賄えることもあるが、対人となると話は違ってくる。トラックに対しては対人保険が適用できるが、フォークリフトに転用はできない。軽傷であれば治療費で済むが、もし死亡事故になってしまったら…。
     保険会社では、フォークリフトの事故にも対応する保険商品を販売しており、加入している事業者もいる。しかし、正直なところ加入は多くはないと、ある保険関係者は指摘する。先の埼玉、千葉の事業者もこの任意保険には加入していなかった。
     「いままでそうした事故を起こしたこともなく、考えてもみなかった」と話す事業者だが、「ボランティアでサービスとして行っている行為で、こちらが大きな損害を被ることになっては、それこそやってられない」とこぼす。
     ドライバーの仕事として明確に確立されていない曖昧さが、こうした事態を招いている。ドライバーがフォークリフトを運転することは常態化していることを考慮すれば、責任のあり方を含め、環境整備を行う必要があるのではないだろうか。

     
     
     
     

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