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    「地産地消=物流コストの削減」は本当か?

    2010年9月22日

     
     
     

     環境問題の拡大にともなって「地産地消」を訴える企業、地方自治体が多くなっている。CO2の排出量を減少させ、物流コストのカットも期待できるとあって、行政が旗振り役を務める地域は多い。
     しかし、運送事業者には死活問題となりかねない。地産地消を推進している側が「物流コスト」をどう見ているのか聞いた。


     「大手の新聞に物流コストを削減して1食630円のカレーを350円に抑えたと出ていたが、物流費だけを削ったわけではない」というのは、滋賀県大津市内の佃煮メーカー・いのうえ。昨年9月に大津市内の食材だけで作った『大津まるごとカレー』を1食630円で販売。「近江牛丼」に続く第3弾として『滋賀まるごとカレー』を1食350円で、県内のコンビニやデパートで販売した。
     「ご当地カレーは高い。しかし、安く販売するために大手と手を組み、前回5000個だった出荷個数を今回、2万個にした」という。「それに従って、配送についても20か所・30個の配送を繰り返していたものを、2万個を2か所のセンターへ1度に配送できるようになった。スケールメリットを利用したことで販売価格を抑えることができた」という。
     地産地消ということで「物流距離の短縮」ではなく、従来の運送事業と同じように「大量輸送」によって物流コストの削減を実現したという同社。では海外からの輸入に頼る「木材」ではどうだろうか。
     日本の木材の多くが北米、ロシア、ヨーロッパなどから輸入されているが、「京都の木材を京都で使おう」と訴える『京都 森と住まい百年の会』の事務局長を務める白石秀知氏は、「物流コストだけで見ればコストは下がるだろう。しかし、だから木材の地産地消であるウッドマイルズがうまくいくかというと、それだけではない」と指摘する。
     「問題はトータルコスト。物流費だけが低くなってもダメ。海外の木材が入ってきたとき、安易に人件費が安いから・・・と考えられていたが、最近ではヨーロッパなどの先進国から入ってきた木材も安い」と指摘する。「その場所に木材の生産性があるかどうかが問題。生産性さえあれば、先進国でも安い価格に抑えることが出来る」という。
     「日本の場合、国内の木材だけで4分の3をカバーできる資源がある。しかも国内の木材を使用することで、国内の輸送事業者を活性化させることが可能になる」と同氏。「国内木材を利用することについてのトータルコストを考えなければならない。しかし、業界内外に広く参加を呼びかけてはいるものの、物流業界からの参加がないのが現状」と指摘する。
     国内の資源を活用でき、林業、物流業も活性化させることが出来るというが、「国内のほとんどの木材が廃棄されているのが現状」と同氏。「さまざまな分野から意見が欲しい」と訴える。
     地産地消とはいっても、物流コストうんぬんよりも、資源の有効活用だけに注目が集まっているというのが実情だ。地産地消を進める滋賀県農産ブランド推進室でも「モデル事業にしても、流通までにらんだものを組んだことがない。データとして見たことがない」という。
     しかし、「地産地消=物流コストの削減」というイメージが大きいのも事実。前出の『滋賀まるごとカレー』についても、物流費の削減だけでコストダウンが可能になったかのような報道が多く見られる。安易な物流コスト削減の手段として「地産地消」が使われないようにする手段も必要だ。

     
     
     
     
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