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    変わる「適正化機関」 業界の救世主となれるか

    2010年11月2日

     
     
     

     社会的規制が強化され、コンプライアンスの重視が求められる中にあって、トラック業界の指導にあたる適正化事業実施機関が注目されるようになった。
     以前は権限のない立場に、事業者から非難を浴びることもたびたびだった。しかし、監査体制が強化される中、監督官庁との相互連携も図られ、その存在感が徐々に増してきた。
     役所と事業者の間に入り、クッションの役割を果たす適正化機関は、事業者の考え方によっては味方にもなれば敵にもなる。しかし、法令順守を行う上で、これほど心強い相手はいない。指導改善のため、悪質事業者に対し毅然と立ち向かう一方、法令順守を目指す事業者には懇切丁寧な姿勢を見せる適正化機関は、事業者の救世主となれるのだろうか。


     以前は、「巡回指導に行った先で、運輸支局の回し者かと言われたり、誰のお金で飯が食えているのかといった非難を浴びることが多かった」と、権限のない立場に苦悩することも少なくなかった適正化機関だが、コンプライアンスが求められる中で、徐々に立場が変わってきた。
     最も大きいのが、国交省との相互連携の強化が図られたことだ。違反を改善しない悪質事業者の存在を国交省に通報し、役所の監査を促すという役割を担うことで存在感が増している。しかし、あるト協の役員は、「何でもかんでも通報するというのではない」と釘を刺す。
     国交省から天下りとしてやってきた役員によると、あくまで悪質違反を改善しない、また、改善の意思を見せない場合に最終手段として通報するということで、「改善しようと努力している事業者を即通報することはない」という。
     千葉県で適正化機関を担当する千葉ト協の西川茂雄常務は、「法令順守で、どこから手を付けていいか分からないという事業者がいれば、いつでも相談に応じる」と話す。その上で、「優先順位を考え、一緒に改善に取り組んでいくことができる」とする。
     また埼玉県では、巡回指導に行った事業者に対し、お礼文書を送付している。文書には、忙しい合間を縫って時間を割いてもらったことへの感謝の気持ちとともに、指導結果を記している。
     指導で不適切な項目があった場合は、そこを指摘した上でワンランクアップの改善を求め、適正化機関がバックアップを約束する旨の記載がある。さらに、指導でGマーク取得が可能になった事業者には、取得申請を行うよう要望している。
     お礼文書の送付について、適正化機関の本部長を務める横塚正秋埼ト協会長は、「忙しい時間を割いて対応してもらうのに、お礼を言うのは当たり前だ」と説明。
     また、千葉県でも西郷隆好千ト協会長が、「協会内に気軽に相談できる相談員の配置も考えている」と、将来的にコンプライアンスの徹底を図ろうとする事業者の相談窓口を設ける構想を話している。
     いずれにせよ、これまで敷居が高いと思われてきた適正化機関の立場を、事業者目線に移すことで、法令順守の周知の徹底を図ろうとの試みが見受けられる。

     
     
     
     

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