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物流ニュース
海コン運賃低下 物量増加でも危機的状況
2010年12月7日
海コン輸送は円高の影響やアジア諸国の経済向上により物量が増加している。しかし一方では、運賃は昭和58年時代のタリフの30%から40%と低運賃で、なおかつコンテナ積み込み時間の長時間などから、海コントレーラ1台の1か月の売り上げは、80万円から100万円。原価割れによる厳しい経営が強いられており、現在でも海コン専業者の中には経営が危機的な状況にあるところも多く存在する。
海コントレーラの車両価格もトレーラヘッド1台で約1000万円、シャシーに関しても2台(40・20フィート)で約600万円、さらに大阪南港の車庫で40フィート1台(10坪程度)が民間車庫の場合は2万円程度と経費だけでも大きい。しかし、運賃は低額で、ドライバーの賃金は二十数万円。社保未加入など、働くドライバーには非常に厳しい状況となっている。
会社の業績が悪化していることから環境対応車が導入できないなど、深刻な事態に陥る事業者も多く存在する。これだけ忙しく車両が減少しているのに、なぜ運賃は上昇しないのか。
大ト協海コン部会の吉川公滋部会長は海コン運賃について「逆算して原価や経費が一体どれだけ必要なのかを理解できていない事業者もいる。運賃が安すぎることが原因で既存事業者が辞めれば、すぐに新しい事業者が仕事を受けにいく。海コン業界は世間で広がる低価格化には当てはまらない産業。荷主に対して低価格運賃では出来ないことを業界全体で強く訴えていく必要がある」と話している。
末端の海コン事業者では「専業では食べていけないのが現状。海コンに加えて雑貨輸送を行っているため、かろうじて100万円を上回る売り上げを確保しているが、海コン専業だと100万円に達するかどうかの状態。最近では他の輸送を手掛ける海コン業者も増えているのではないか」と指摘する。
阪神大震災以前は、トレーラ1台で1か月の売り上げは200万円を超え、ドライバーの中には年収が1000万円に達する者も多かった。しかし、最近では年収300万円を切るドライバーも増え、今後はドライバー不足問題にも発展しかねない。この記事へのコメント
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