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物流ニュース
「隠れ5台」が急増 車検通さず車庫に放置
2011年5月13日
「隠れ5台」という言葉がある。運送事業を行う上で最低車両台数は5台となっているが、表向きは5台でも実態として5台を割っているという意味を表す。
営業用トラックとして緑ナンバーは付けているが、車検は通しておらず、そのまま放置されているトラックである。関係者によると荷動きの低迷と事業者間の過当競争の激しさを背景に、「隠れ5台」事業者がここ数年で急激に増加しているという。
トラックの保有台数が5台のある運送事業者。仕事量が減り続け、ここ数年、減車傾向にある。今年に入って、車を売却して手元資金を確保しようと、運輸支局に出向いたが、減車を受け付けてくれなかったという。
結局、5台を維持したものの、1台はナンバーを付けているだけの状態。先月、実施しなければならないはずの車検は受けておらず、トラックは雨ざらしで車庫の隅に置かれている。要は、ナンバーが付いていれば営業所ごとに配置される車両数に数えられるのだ。
最低車両台数の5台をキープしようとする取り組みは、全国の運輸局で行われているようだ。国土交通省は平成21年6月に運輸局を通じて、5台未満の事業所について調査を実施。1か月間に全国の5台未満の事業所のうち1018の事業所について調べたところ、741の事業所(72.8%)について点呼や健康状態の把握、乗務時間などで数々の違反項目が見つかった。
国交省はこの事態を重く見て、5台割れを防ぐ対策を打ち出していると見られている。しかし、増減車は届け出事項であり、車両台数が5台を割り込んでも行政処分はなく、5台を維持することに強制力はない。
ある運輸支局の担当者は「(5台の維持は)あくまでも指導の範ちゅう。減車の事情は聞くが、他社との整合性を説明してお願いしている」と話し、また、「指導を行うのは、5台の公示基準があること。また、5台を割ると運行管理者、整備管理者の配置を逃れられる恐れも出てくる」と、安全面がおろそかになる事態を考え、指導を徹底していると話す。
また、「やむを得ない場合は、仕事が増えれば速やかに5台に戻すという誓約書を取って、減車させ、毎年、事業計画をチェックしている」と説明。しかし、「利用運送業への転換、実運送事業からの撤退を勧めることもある」といい、増減車が届け出事項ではあるものの簡単には受理していないようだ。
5台割れ事業者は平成21年の調査を境に減少しているようだが、無車検の営業ナンバーを付けたトラックは法令違反にはならないのか。運輸局によると、「車検切れのトラックは、走れば問題であるが、止まっていれば問題はない。新幹線など特殊な重量物を運搬する車の中には、荷物を運ぶ際に車検を受け、車検代込みの運賃で事業を行っているケースがある」と、違法性はないと説明する。
「隠れ5台」事業者は一体、全国でどれくらいあるのか。運輸局担当者は「調べるのは膨大な作業」とし、実態は把握できていないという。この記事へのコメント
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実質 軽貨物みたいに一台で起業可能に法令を改正すれば済みますよ。運送屋を締め付けすぎている。
なぜに5台以上にこだわるのか。
大手優先の考え方に傾倒しすぎている。
できたばかりの運送会社で人が辞めてしまえば稼働させる車が5台割ることもあり得るし、零細企業には予備車を何台も維持できる余裕なんてない。