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    軽貨物の運賃低下 過酷な労働に大手の価格破壊

    2011年9月9日

     
     
     

     道央圏を中心に、軽貨物運送の運賃低下を指摘する声が増えている。一部の事業者からは、健全な産業として発展するために「より強い社会的規制」や「一定程度の業界秩序」を求める声もあがっている。
     苫小牧市で軽貨物を手掛ける事業者は「ここ数年、大手が率先して価格勝負を仕掛けており、見積もりを出しても太刀打ちできなくなりつつある。このままでは、軽貨物に従事する人間の生計が立たなくなり、業界としての発展も見込めない」と話す。
     軽貨物ドライバーの多くは個人事業主。ドライバーの労働条件が過酷でも、労基法や改善基準、最賃法などの適用対象とはされず、社会的規制が緩やかなため、行政による指導が少ないのが実態だ。


     同事業者は「フルに働いても年間の売り上げが200万円台で、ガソリン代や車のローンなどを引くとほとんど何も残らないというドライバーは珍しくない。車を購入して軽貨物に参入しても、仕事が全然ないという者もいる。自由競争・自助努力をいいことに、働く者の幸せを誰も気にしておらず、これでは夢を持って『軽貨物をやろう』という人はいなくなる」と懸念を示す。
    ■公的な団体設立望む声
     「軽貨物は協同組合や企業が乱立し、一般貨物でいうト協のような公的な業界団体が存在せず、行政からの指導や接点もほとんどない。適正化実施機関やGマークもなく、適正な事業を行っているという基準もない。これでは健全な業界として発展していくことは難しい」とし、「健全な業界を作るため公的な組織として『軽トラ協会』を設立したい」と話している。
     札幌市の事業者も「大手による価格破壊がひどい」と訴える。あるチャーターの案件で月間7万円の見積もりを考えたが、競合他社の動向をうかがい、ギリギリの6万円まで引き下げた。しかし、大手が4万円の見積もりを出してきて往生したという。
     「朝から晩まで必死に働いて月15万円程度の売り上げしかない者もいる。これでは手元に残るのが2万~3万で、車の故障や事故が発生すると利益が消し飛んでしまう。定年退職後に年金をもらいながら『少しでも社会に出た方がいい』と、ほとんど趣味で働くドライバーをよこし、考えられない値段をつけてくるのが問題だ」と指摘する。
     江別市の事業者は「軽貨物ドライバーは、個人事業主という形式のため一向に管理されず、労働環境と稼ぎの両方が悪化し続ける一方」と話し、「札幌近郊では、単に人件費を削りまくって運賃を叩くケースが目立ってきた」と現状を説明する。

     
     
     
     

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