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    経営コンサルが利用運送登録 「新手の運賃搾取だ」

    2011年10月3日

     
     
     

     運賃が低水準で推移するなか、元請けから下請け、孫請け、さらに…とトラック運送事業の多層構造が問題視されているが、その一因と指摘されるのがトラックを持たない取扱専業者の存在だ。かねて実運送との二人三脚で事業発展に貢献してきた側面があるのは確かだが、近年は「トラックを持たないほうが勝ち」といったムードも漂うなど、実運送の会社までが取扱事業に力を入れる有り様。各地のト協でも適正運賃の収受に向けて現在、規制緩和で登録制に変わった利用運送の厳格化などを求める動きが目立つが、危惧されていた事態が中国地方で発生。関係者らは困惑の表情を浮かべている。


     関係者によれば、渦中にあるのは国家資格を持つ経営コンサルタント。クライアント企業に「在庫管理の適正化」などを通して物流現場の改善も助言するなかで昨年、利用運送事業を新規登録。従来は元請けの運送会社が手配する形だった「傭車」について、荷主と、新しく契約した実運送事業者との橋渡し役となって、荷主には物流費の削減、傭車にもいくらかの運賃改善というメリットを提供したようだが、一方では既存事業者がダメージを受けることになった。
     業界関係者からは「うちの取引荷主にも同じような提案が…と考えれば問題だが、うまくいくとは思えない」「素人の提案に耳を貸す運送会社がいることが問題。業界団体として対応を協議する必要もあるのではないか」との声が聞かれる。
     なかには「中小企業の厳しい台所事情を熟知し、経営改善をアドバイスする経営コンサルタントの立場を利用した新手の運賃搾取。運賃のイロハも知らない物流の素人に違った分野から切り込まれ、かき回されるのは納得がいかない」と声を荒げる運送社長もいる。
     ただ、法的に問題があるとはいえない。正規に利用登録を済ませており、企業の秘密情報を社外に漏らしたわけでもない。むしろ「いいものを安く」という当たり前のニーズに合致したとすれば、ある意味で現場の再編は「荷主の勝手」となる。
     利用運送の登録要件は「事業を行うための施設(事務所など)」「300万円以上の手持ち資金」「運送事業者との契約書の写し」のほか、「登録後の30日以内に届け出る必要がある」(中国運輸局貨物課)という運賃。「実際に利用するトラック事業者の届け出運賃もあり、いまのところ(利用専業者からの)無茶な届け出は見受けられない」(同)というが、地元関係者らは「利用する事業者の届け出運賃を参考に、しょせんは『右へならえ』だろう」と吐き捨てる。
     一方、「高いコストをかけてトラックを動かし、気を抜けば厳しい行政処分が待つ時代。処分がなく、恐らく運送現場の責任も取らない素人衆に振り回されるわけにはいかない。ただ、荷主は物流のプロではない。我々が適正化をアピールする必要があるのでは」と話す運送社長は許認可制度の見直しも含め、「取扱専業の在り方を運輸行政に要望すべき」と訴える。素人の利用専業者に文字通り「利用」されてはたまらない…切実な思いが伝わる。

     
     
     
     

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