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    遺体搬送はボランティアか 規定運賃とほど遠い報酬

    2012年1月20日

     
     
     

     東日本大震災では多くの人が尊い命を奪われた。全国霊柩自動車協会(坂下成行会長)は被災自治体と締結していた「災害緊急輸送協定」に基づき、遺体の搬送を展開。搬送は年の瀬を迎えた今も続いているが、3月の震災発生直後から5月末までのピーク時には岩手・宮城・福島・東京(都と被災県との協定による搬送)の4自治体に190事業者(1連合会20支部)から延べ940台が出動、1500体以上の遺体を運んでいる。このうち岩手、宮城両県ではほとんどが「ボランティア」として稼働。規定の運賃・料金とはほど遠い報酬で過酷な遺体搬送に従事していた。


     緊急輸送の陣頭指揮をとった坂下会長は「われわれはこうした災害時のご遺体搬送はボランティアだと認識している。仲間の多くも通常の規定運賃はもらわなくても当然と考えている」と話す。
     震災が発生し、被災地から「協定に基づき遺体を運んでほしい」と要請を受けた事務局も「深夜・早朝、2人乗務などの割増料金は一切いただかない」と約束。実際には深夜、早朝の出庫も多く、すべて2人乗務で対応した。現場は大混乱しており、何台の霊柩車がどこに集結すればいいのかさえ分からない。依頼しておきながら「生きている人、ケガ人が優先。救急車や救援物資の輸送の邪魔になるから、まだ来てもらっては困る」などの追加連絡もあった。
     こうした状況の下、全霊協と各支部は依頼のあった事案を速やかに処理するため各拠点に複数台を集結させ、随時、遺体の搬送業務を行った。出動要請期間満了後、岩手、宮城両県には「遺体(または御骨)を運んだケース」のみ、約束通り「基本の基本」で請求。自治体側からすれば「多少の割引」できちんと支払っていることになるが、全霊協ではこれを待機した事業者を含めて「1日1車当たり4万円」で公平分配した金額を所属する支部に支払っている。支部がそれをどう配るかは「支部の裁量」とされた。
     700km以上搬送し、割り増し料金を加えれば30万円以上の仕事をした場合も2日車で8万円という計算で、待機が2日車でも同じ8万円。これについて出動した会員から「苦情は全く出ていない」という。全員が強いボランティア意識で動いたためだ。
     「はじめに割り増しや待機車両も含めての請求を伝えれば、もちろん支払ってもらえただろう。ただ、われわれはやはりボランティアの意識で要請に応えた」と事務局。
     実は、延べ204台が出動、計650体の遺体を搬送した阪神・淡路大震災でも強いボランティア意識で動いたことが影響し、運賃をもらえたのは芦屋市だけで「他の自治体は1円もくれなかった」経験がある。また、「震災対応では思わぬ出費がかかる」ことが判明し、災害時の緊急輸送のため積み立てを始めたのもこの時期。東日本大震災では、この積立金から1000万円を取り崩し、出動部隊の宿泊代とその他の緊急費用に充当。
     こうした実態について東京都トラック協会の会員は、「やはり運賃は適正にもらうべきでは。あまり遠慮すると、それが普通になってしまう恐れもある」と指摘。坂下氏は「われわれが運ぶのは物ではない。だが時代の流れの中、見直すべきものは見直したい」とコメント。
     事務局も「今後、緊急輸送協定で単に『支払う』とだけ表記されている運賃・料金に関する事項について再検討する方針」という。

     
     
     
     
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