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    北海道・地下物流実験にヤマト運輸などが参加

    2012年5月8日

     
     
     

     都市型新物流システム研究会(山田忠史代表)は2月、札幌中心街の地下通路(駅前通り地下歩行空間、北1条地下公共歩道、札幌地下街、地下鉄コンコース)で「自然災害に強い札幌都心部地下物流社会実験」を行った。
     地震や災害により地上部の交通網が麻痺した際の代替ルートとして、地下通路網を活用し、安定的な物流体制の構築を検討するもの。国交省道路局の「道路に関する新たな取り組みの現地実証実験」の一環で、札幌市、札幌都市開発公社、駐車場整備推進機構が協力した。
     期間中は、北1条地下駐車場や大通地下駐車場、仮設のデポジットセンターを荷捌き拠点とし、一般車両や通行人と一緒に、荷物配送用の台車が地下通路を走行した。


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     事務局を担当した総合建設コンサル会社ドーコンの伊藤龍秀新規事業開発室長は「台車は道交法上、軽車両なので通常時は歩道にあたる地下歩行空間などを走行できないが、災害があった時に混乱しないよう情報としてストックしておくことが大きな目的。このような実験は全国で初めて」という。
     実験に参加したのは、同研究会メンバーでもあるヤマト運輸のほか、文具、食品、清掃用品などを扱う十数社。物流関係企業はヤマトのみとなった。
        ◇
     実験を行った同研究会は、建設コンサル会社が事務局を務め、札幌市やヤマト、学識経験者などで構成されている。昨年度は全国初の「地下鉄を活用した物流の社会実験」を行い、大都市圏の新しい物流のあり方を検証し、大きな注目を集めた。
     地下鉄の実験は「海外のロジスティクスの学会で発表し、驚くほど反響があった。世界的に先進的な事例で、今後の実用化に向けて検討している段階」(伊藤氏)だという。
     今回の地下網の実験もテレビ各局をはじめ、一般紙にも広く取り上げられ、大きな関心を集めている。残念なのは、物流の社会実験にも関わらず、参画した物流関係者はヤマト運輸のみということだ。
     国交省道路局という建設系の予算による実験で、事務局も建設コンサル会社が担当し、また、大きなトラックを活用するという内容ではない。それでもなお、このような社会的意義の大きい取り組みに地場の物流事業者、地元の物流系団体などの積極的な関与がないのは、気になるところだ。
     震災時にも明らかになったように、緊急時の物流はプロが入ってさばかなければ、現場が混乱することも起こりうる。物流の社会実験に「お声がかからなかった」のは、物流側の企画力や提案力、情報発信力などが十分ではなかったという側面があるのではないだろうか。
    ◎関連リンク→ ヤマト運輸株式会社

     
     
     
     

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