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物流ニュース
プラネット物流 久留雅雄社長「BCPコストも物流費の一部」
2012年3月23日
東日本大震災では想定外の災害が重複して起き、関東以北の交通網は寸断、ライフラインである「物流」が途切れた。水や食料、毛布など生命救助品を一刻も早く届けるため、ト協会員をはじめとしたトラック事業者は全国から車を走らせた。
しかし、生命の危機から逃れた時点から、次に求めるのは生活必需品である。歯ブラシや石鹸、カミソリや衛生品など生活に欠かせない品を共同配送するプラネット物流(久留雅雄社長、東京都中央区)の震災時と、その後の対応を聞いた。
同社は日用品雑貨メーカー計50社の商品を効率的に店舗へと届けるための共同配送に取り組んでいる。九州、関西、中部、南関東、北関東、北海道の6つの物流センターを拠点にトラック運送事業者の協力を得て物流システムを構築。大震災で直接被害を受けたのは関東の2拠点。南関東は4日後に稼働再開を果たしたが、北関東は高層であったため被害が大きく、再開までに10日近くを要した。
久留社長は「従来は保管効率の向上を目指し、ラックやネステナーを組み合わせることで補強しながら空間利用の工夫を重ねてきたが、今回の地震は予想を上回っていた。落下物が通路をふさぎ、保管ロケーションも崩れた。落下商品や出荷可能商品の仕分け、さらにロケーション回復までに多大な時間と労力を要した」と振り返る。
大震災の経験から同社では「情報を速やかに共有するためのネットワーク構築」「保管体制の強化」「配送網の再構築」の3つを大きなテーマとして改善を進めている。情報網も並列型での双方向一斉配信に変更し、各センターは緊急事態が起こった場合、「センター内の状態と責任エリアの情報」を事業者から集め、荷主や本社、各センターに報告配信する。同社長は「地震に関しては震度5弱以上のときは報告するようにしている。異常がないことを知らせることで荷主にも安心していただける」と説明。
保管では、積み段数の低床化とラップ巻きの実施、建物の階数で変わる揺れ度合いを考慮しながらの細かい調整で安全保管の強化を図る。配送網でもメーンとサブの複線化と、エリア共有化でリカバリーしやすいシステムを検討している。
九州地域では協力運送事業者の輸送能力をリスト化し、有事には通常より物流量を増やしての輸送など具体的な協力内容を事前に話し合っているという。「BCPコストも物流費の一部という考え方。電力の確保が一番の問題だが、災害時はリカバリー力が必須。平常時から荷主、事業者と3者間で話し合いながらコミュニケーションを強くしておくことが重要だし、対応するキーになる」と語った。
◎関連リンク→ プラネット物流株式会社この記事へのコメント
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