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物流ニュース
不正軽油でエンジン故障 販売店は「オイル原因」
2012年4月19日
燃料価格が高騰し続ける中で、たとえ1円でも安く軽油を仕入れたいのは、どこの運送事業者にも共通した思いだ。しかし、灯油や重油を加えた不正軽油に手を出し、トラックが故障するケースは少なくない。昨年11月に4tトラックを購入した運送会社では、その2か月後にエンジンが故障し、販売会社でエンジンの載せ換えを行った。運送会社社長は不正軽油が原因と判断し、軽油販売店にエンジン載せ換えに伴う損害賠償を請求。しかし、販売店は「軽油が原因ではなく、オイルが原因」と純粋な軽油であることを主張。お互いの言い分は平行線をたどっているが、運送会社は告訴を検討している。
運送会社は昨年4月から、トラブルが起きた軽油販売店から軽油を仕入れ、今年2月までの間、月々200万円程度使っていた。
販売店は昨年3月に飛び込みで運送会社を訪問。運送会社は「最初は断っていたが、しつこいので入れることにした。販売店は『大手元売りの孫請け業者』を名乗っていたので信用した」という。
現金で今月使用分を前月末に振り込む前払いの条件で、1Lあたり相場よりも5円以上安かった。使用月の月末に不足分を次月分に足して支払っていた。
販売店は日曜日以外は毎日、ローリー車で会社を訪問して、トラックに直接給油。大手元売りの制服を身にまとい、ローリー車にも大手元売りのステッカーが貼られていたという。
しかし、今年1月に新しいトラックが走行中に突然停止してしまった。ディーラーに車を引き取ってもらったが、燃料系統を調査したところ、噴射ポンプが割れていたことが判明。また、燃料の性状を調べたが、動粘度がJIS軽油規格に対して極めて低いことを確認。つまり適正な粘度を持っていないために潤滑不良となり、様々な部品で磨耗が発生し、噴射ポンプの破損につながったと報告があった。
結局、修理では手に負えず、エンジンを載せ換えることになったが、運送会社は軽油販売店に、この資料を持参し損害賠償を請求。詳しい説明を求めたところ販売店は「原因は軽油ではない。オイルが原因」などと主張。しかし、運送会社では毎回、ディーラーでオイル交換を行っているため問題ない、と反論。
話し合いは平行線をたどっていたが先日、販売店の親会社から使用した燃料について、検定会社の鑑定結果が運送会社に送りつけられ、改めて合法的な燃料であることを主張。運送会社も現在、独自に鑑定依頼をかけ、民事とともに刑事告訴も視野に入れて訴訟の準備を進めている。運送会社社長は「修理代うんぬんというより不正軽油は撲滅しなければならない。そのために摘発したい」と強調している。
トラックディーラーによると「不正軽油は不純物が混じっており、エンジンには決して良くない。特に今のトラックは昔の車両よりも排ガス規制でシビアになっており、PMについてはマフラーで燃焼させる構造になっている。純粋な軽油でないと煤(すす)が多く発生し、マフラーが詰まりやすくなる。また、煤を燃やすのにエンジンにも負担がかかる」と注意を呼びかけている。この記事へのコメント
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