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    身内と認識、痛い目に 巡回指導を甘く見ない

    2012年6月27日

     
     
     

     山口県で昨夏、地方適正化事業実施機関が張った「悪質事業者」のレッテルに基づいて運輸当局が監査に入った結果、14日間の事業停止という厳しい行政処分が行われた。
     適正化機関の情報提供を端緒にした事業停止の処分は当時、同局の管内では初めてということで関係者の注目を集めたが、今年5月に入って同様のケースが広島県でも発生。処分内容は7日間の事業停止に加え、400日を超す車両停止という厳しいもの。事業停止とまではいかないまでも、「巡回指導に応じない」「改善報告書を出さない」「5段階評価で低評価を受け続ける」ことが原因で車両停止処分を受けるケースは全国で発生しており、いわば「身内」と甘く考えていては痛い目に遭うことを再認識する必要があるだろう。


     適正化機関の情報提供が元で事業停止に至る例は多いわけではないが、車両停止にまで処分内容を広げると意外に少なくない。北海道を例に取ると、平成20年以降の4年余りで「貨物自動車運送事業の監査方針の細部取扱い」(適正化機関による情報提供関係)に沿った車両停止処分が14件も発生。中国運輸局でも、「車両停止は過去に数例ある」(自動車監査官)とする。
     ト協の職員であると同時に、巡回指導で運送事業者を訪問するという二つの顔を持つ適正化機関の指導員は「いわば身内」という運送会社の認識から、思うような指導業務がこなせないケースも少なくない。昨夏の例に続き、先月にも同様の厳しい行政処分につながったことで、「身内を売るのか」との声が聞かれるのも確かだ。
     中国5県のト協では数年前、事業所巡回の際に身に付ける指導員証を「中国運輸局長が証明」するタイプに切り替えた。ドタキャンを繰り返すなど巡回指導に応じない運送会社もあり、身分を明確化し「なめられない」ための改良だったが、「ト協に加入していない事業者を中心に一定の効果がある」(幹部指導員の一人)と話す。
     仮に、巡回指導で不適切な部分が見つかれば改善指導を受け、事業者は3か月以内に改善報告書を提出しなければならないが、「指導を甘くとらえる事業者もいる」と、ある県の指導員。別の指導員も「約束の日に訪問しても不在で、再度の約束も当日になって『急用で出張』とキャンセルする例も珍しくない」と明かす。
     こうした現状を踏まえて広島では昨年9月から、適正化機関の情報提供に基づいてリスト化された悪質事業者に、運輸支局が警告文書を送り始めた。巡回指導の後、改善報告書が提出されない事業者について「(文書で)通知したにもかかわらず提出がなく、指摘事項の改善が確認できない場合」は巡回監査もあり得ることを記すと同時に、車両停止や事業停止などの行政処分に至る恐れがあることも示唆している。
     ただ、「実際に監査してみないと問題の重大性がはっきりしない(適正化機関からの)情報提供よりも、重大事故などによる108条通報(公安委員会から運輸局へ)や労基署通報を優先しなければならない。情報提供があったからといって、今回と同様のケース(事業停止)が次々と発生することにはならないだろう」(前出の監査官)という。山口と広島で事業停止処分を受けることになった事業者は、いずれもト協会員ではなかったことで「身内なら売れなかっただろう」と揶揄する声も聞かれるが、「員外事業者だったために巡回指導の意味を甘く考えてしまった」と受け止めることもできる。
     ある運送会社の経営者は「指導員をうまく使えばいい」と話すが、適正化機関による事業所巡回で「ダメ出し」をもらうことで不適切な部分が判明し、それを解消しようとする姿勢がコンプライアンスへの近道というわけだ。「大きな事故を起こせばオシマイ」と話す事業者の思いは、裏を返せば「どんな厳しい処分が待つか想像できない」という不安でもある。「監査の際は(指導員より)深くチェックする」(同監査官)というものの、適正化機関の指導は、その仕事を委ねた運輸当局の指導と「イコール」であることを再認識しておきたい。

     
     
     
     
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