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物流ニュース
東京都事業引継ぎ支援センター 事業承継を無料で支援
2012年7月26日
東京都事業引継ぎ支援センター(東京都千代田区)は、「後継者難の小規模企業の事業承継をサポートする」公的機関として、昨年10月に設立された。竹内寬暁サブマネージャー(写真左)は、「民間のM&A会社は多数あるが、そこでは手がけにくいような小規模の案件も扱う」と説明。相談実績は設立以来、既に100件を超えており、相談者の平均年商は「3億円前後」という。
多くの中小企業にとって事業承継は喫緊の課題だが、玉置恵一サブマネージャー(同右)は、「中小企業の経営者の平均年齢が、既に60歳に達している」とした上で、「遅くても70歳をめどに、先のことを検討する必要がある」と警鐘を鳴らす。
承継の手段としては、(1)息子等、親族への承継(2)従業員等への承継(3)第三者承継(M&A)の3つが挙げられるが、同センターではそれぞれの企業の状況に応じたアドバイスを実施する。
安藝修プロジェクトマネージャー(同中央)は、「公的な第三者の立場からアドバイスできる。後でもめないためにも、取り決めをしておかなければならないポイントを押さえることが重要」と指摘する。
中小企業の実に3分の2が「息子が継がない・息子に継がせたくない」と考えているのが現状だというが、そういった企業の経営者は(2)か(3)、あるいは「廃業・清算」という選択を迫られることになる。竹内氏は、「従業員のためにも廃業・清算はできるだけ避けるべき」と語る。
(3)の第三者承継を希望する場合は、「その可能性がありそうで、経営者が望めば民間のM&A会社を紹介する」のが通常の流れ。一方、「中小の場合は、承継先を探すのが一番難しい」とし、「取引先の中から自力で見つけるのもひとつの方法。当事者同士が合意している話であれば、手続きを進めていく上でのアドバイスを当センターで行う」。
設立から半年以上が経過し、「『買いたい』というニーズも徐々に蓄積されてきている」という。玉置氏は、「マッチングには情報の量が必要。現在のペースで売買希望情報が増えていけば、将来的にはセンターの中でマッチングを行うことも可能だろう」と展望する。
従業員や取引先への承継のケースでは、間に実務に精通した専門家が入らない場合も多いが、「顔を知っている間柄だからこそ、デューデリジェンスなどの然るべきステップが踏まれておらず、後でもめることも少なくない」という。同センターはそんな事態を防ぐ役割も担っており、弁護士や税理士といった外部の専門家に、2回まで無料で相談できる支援メニューもある。
同センターの対応エリアは関東甲信越地域。基本的には相談者が同センターに直接出向く形となる。費用は窓口での相談だけであれば何度相談しても無料。第三者への承継を希望し、民間のM&A会社に相手先探しを依頼した場合は、その段階でM&A会社側への着手金が発生。さらに、譲渡契約が成立した段階で各社規定の成功報酬が発生する。
安藝氏は、「M&Aを、会社存続のための選択肢のひとつとして早くから検討することが大切」と説明。その上で「事業承継の問題はデリケートで、口に出しづらい話。また、M&Aの会社は多く、どこに相談すれば良いか迷われることもあるだろう」とし、「当センターであれば客観的な視点から、公正中立なアドバイスができる。ぜひ一度、相談いただきたい」と語る。
◎関連リンク→ 東京都事業引継ぎ支援センターこの記事へのコメント
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