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物流ニュース
国交省 最低車両台数・適正運賃収受WG、最終報告まとめる
2012年11月15日
国交省は10月25日、最低車両台数・適正運賃収受ワーキンググループ(WG)の最終的な報告書をとりまとめ、発表した。
市場構造の健全化や事前チェックのあり方として、5台未満の事業者にも「運行管理者」の選任を義務付けるほか、新規参入時の法令試験の科目に「独占禁止法」「下請代金支払遅延等防止法」を追加するなどの具体案を提示。これらは省令改正などで対応し、年内にも実施する。同日は自動車局の加賀至貨物課長ら担当官のほかWGの野尻俊明座長(流通経済大学教授)、坂本克己委員(全ト協副会長)も同席し、概要を発表した。
運行管理者選任 5台未満も義務
運賃・料金の適正収受問題では「トラック法第63条に基づく標準運賃は、各種指標によれば現段階で発動すべき状況ではない」と判断。第26条による運賃の変更命令も「適切に対応する必要がある」「巡回指導の場などで運賃届け出の徹底を図るべき」と指摘するに止まった。旧認可運賃の運賃タリフを活用して、現在の運賃や運送原価の水準について公表する取り組みは「運賃が既に多様化していることに加え、国の関与は独禁法などを踏まえ慎重な対応が求められる」と指摘。「国は事業者の交渉力向上に向けた様々な支援が求められる」とのみ言及した。
最低車両台数では当初、「競争が激化する中、適切な事業運営を確保するために一定規模の保有台数が必要。最低車両台数を見直すべき」「小規模事業者ほど法令違反が多いのでは」などの意見があったが、調査の結果「車両規模と法令違反による処分件数、事故件数」に相関関係がないと判明。また「引き上げた場合、既存事業者がそのまま増車すれば各事業者の保有車両数を増加させることとなり供給量が増加。さらなる競争激化を招く恐れ」も示されたため「直ちに引き上げる状況にはない」と結論。ただし「不適格な者を市場に参入させないため、新規参入時の安全適合性を厳格にチェックする」としている。
年内にも検討会 新部会を設置へ
市場構造の健全化では「自動車運送事業者に対する監査のあり方検討会」での検討も活用しながら、不適正事業者の指導強化・退出促進、優良事業者への配慮として、監査手法の効率化や体制・監査能力を強化。IT機器(デジタル式運行記録計など)を有効活用するほか、行政処分を受けた事業者の詳細情報を公表し、「利用者の選択を通じた不適正な者の退出を促進させる」とした。事業許可の「更新制」については、「他の規制の効果や監査及び行政処分の強化を図りつつ並行して検討を続け、その導入の可否を判断する」となった。
WGは「トラック産業の将来ビジョンに関する検討会」の中間整理を受け、2010年10月に設置。7回にわたる会議を行い、各論点の検討を進めてきたが、期待された大ナタが振るわれることはなかった。
ただ、年内にも検討会を開き、新たな作業部会を設置。WGで提言された新規参入の厳格化や更新制などを引き続き検討するほか、十分に審議できなかった下請け多層構造や利用運送事業者のあり方についても踏み込んだ議論を行うとしている。
◎関連リンク→ 国土交通省この記事へのコメント
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