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    傭車見つからず非効率な「増車」

    2012年11月22日

     
     
     

     傭車という、実運送業者が本来持つべき調整弁が機能しなくなりつつある。ここに挙げるのは平ボディー、なかでもユニッククレーン付きトラックという限定的な市場の例だが、「傭車がしにくい」理由そのものは、バン型トラック、ウイング車などの市場にも共通と思われる。
     実運送事業者が傭車しづらい状況のなか、果たして「利用運送」の意義はどこにあるのかという問いかけにも見える。


     「あれは鹿よけの金網。秋から冬にかけて各地での需要が結構ある」。大型から4トン車まで約50台のトラックを保有する兵庫県内の運送事業者が、自社倉庫に運び込まれた製品の塊を指してそう話す。鹿よけネットは高さ1.5m程度。山あいなど各地の道路に出てきて、自動車事故の原因ともなる野生の鹿を防ぐためのものだという。
     事業者によると、鹿よけ金網の多くは山間部の道路上で荷下ろしするため、ユニッククレーンの装着は必須だ。同社にユニック車は数台あったが、今冬の鹿よけ事業のために新たに2台の中古車を投入した。
     事業者は「昨年まで鹿よけ事業に傭車していた近くの事業者が今春、倒産した。新たな傭車先も見つけようとはしたが、やれトラックがないだの、年末だから運賃を吹っかけられたりする。自分で中古車を買うほうが、よほど気が楽だと思った」と話す。
     秋から冬に限定される仕事と分かっていても新たなトラックを投入する。既存の仕事受注も減少しているため、配車を効率化すればとも考えたが、実際にはままならない。非効率とも取れる増車をしなければならない事情にトラック業界はある。

     
     
     
     

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