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物流ニュース
主婦向けインターンシップ事業 トラックドライバーは適用外?
2012年12月3日
中小企業庁が来年度の目玉として打ち出した「主婦向けインターンシップ」事業。結婚や出産などで一度職場を離れた女性の「中小・小規模企業への就職再チャレンジを支援する実践的な職場実習制度」として予算5億円(助成費)を新規に要求している。女性ドライバー活用を計画中のトラック事業者がインターネットで同制度を知り、「願ってもないチャンス」と中企庁に問い合わせたところ、「トラックドライバーは危険が伴うため、対象にはならない」と言われた。「『ドライバーは危険』と一蹴するのは公平な中小企業支援ではない」と事業者は怒りを隠せない様子で、「制度の詳細はこれからとのことだが、全ト協や国交省などがドライバーも対象になるよう働きかけてほしい」と話している。
主婦向けインターンシップ事業は、今夏の予算概算要求時に明らかにされた新規事業で、今後、12月の閣議決定を経て、来年1月からの通常国会で予算が確定する。その後、詳細を詰めながら、支援対象者となる主婦に広く告知される。もともと民主党政権が、中小企業支援をアピールするために設けた「〝ちいさな企業〟未来会議」が提案。従来の学生向けインターンシップ事業の「主婦版」だが、学生と違い、社会経験も豊富で、仕事のノウハウも持つケースが見込まれることもあり、多くの中小企業が注目している。
当初(概算要求時)、ドライバーは適用除外の説明はなかったため、本紙で「業種や職種で差別するのか」と中企庁を質したところ、「差別していないが、学生の場合も自動車運転ははずしている。作業環境が問題だ。万一、事故が起こったら誰が責任を取るのか」(経営支援課)との回答。
「主婦にも男性以上に運転好きな人がいる。宅配便のドライバー経験者も多い。ドライバーが対象にならないのはおかしい。中企庁か経産省がそうした判断を下すのか」と質問すると、「3者間の相談で、そうなる可能性が高い」との答えが返ってきた。3者とは(1)実習を受け入れる中小企業(2)実習をコーディネートする民間企業(中企庁が委託)(3)実習生(主婦)のことで、カリキュラムに基づき実習(就労)前に、細かな取り決めを話し合うという。受け入れる企業が安全に配慮しないとは考えられず、「運送会社も例外ではないはずでは」と聞いても、「(ドライバーは)危険が伴う」の一点張りだった。
結婚や出産で一時的に退職した女性は現在、国内に340万人以上いると推定される。統計による女性の「年齢別就業曲線」は欧米では男性同様、なだらかな円弧を描くが日本の場合、「25―45歳」あたりが凹み、全体としてM字型になる。この潜在労働力の再就労への取り組みを「後押ししながら、職場実習を就労と同等に扱い、保育所などの利用が可能になるよう働きかけを行う」とする主婦向けインターンシップ事業。ドライバー不足の折、有効活用を検討する事業者は多い。国交省は「制度の中身がよく分からないので何とも言えない」としながら、「省庁間の連携で事業者の要望を伝えることは可能」という。ただ、そのためには業界として大きな盛り上がりが必要になる。この記事へのコメント
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