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    零細事業者にも頂点の可能性を ドラコンのあり方を考える

    2013年1月22日

     
     
     

     プロのトラックドライバーで史上44人が手にしてきた「日本一」の称号。しかし、6万社以上がひしめき合う実運送の業界でありながら、そのうちの37人(84.1%)がわずか3つの大手企業グループに集中する。トレーラをメーンに扱う兵庫県明石市の運送会社社長は「営業トラックが絡む重大事故が相次ぐなかでは現場力というか、卓越した運転技能を持つ中小・零細事業者のドライバーにも頂点のタイトルをめざせる舞台を整えることが事故抑止、さらにドライバー全体の底上げにつながるのではないか」と話す。


     今年で44回を数えたトラックドライバー・コンテストの全国大会。地元の会社に所属するドライバーが全国優勝したことを喜びながらも、鋼材輸送などを手掛ける姫路市の運送会社は「都道府県ごとに実施される地方予選に出したくても、20台そこそこの会社では勉強のために時間を作ってやれないし、そんな状態で参加しても結果は見えている」(社長)と打ち明ける。
     これまでの44大会で最多の「日本一」を獲得したのは、日本通運グループの13回。前身の日立運輸や日運物流サービスなども含めた日立物流グループと、佐川急便系がともに12回で並び、この三つの企業グループで実に全体の84.1%を占める。
     ドラコンは運転技能だけでなく、学科や点検・整備を加えた部門で競われるため、プロドライバーの頂点を決めるコンテストであるにもかかわらず、かねて中小企業、なかでも業界の大部分を占める零細事業者に縁遠いタイトルになってきた。
     西日本地区の県大会で今秋、大手に交じって果敢にチャレンジした地元の運送会社のドライバーがいた。残念ながら全国大会への道のりの遠さを痛感する結果に終わったが、日常的に公道を走るプロドライバーとして極めて重要な運転テクニック(実技)の点数は、県の代表として全国へコマを進めた大手のドライバーを上回った。
     雑貨輸送が主業務の広島市の運送会社は、「日本一というからには技術だけじゃなく、整備や知識も必要だろう。ただ、事故は現場で起きている」と、今年に入って営業トラックが絡んだ重大事案が続発している現状を憂慮。「プロドライバーである以上は、毎日の業務が運転技能の訓練。一定期間の無事故・無違反を出場資格として、総合優勝とは別に、例えば全国トップの技能点に『鉄人ドライバー』の称号を用意するというようにすれば、もっと面白い大会になる」と提言する。
     これまでの44人のタイトルホルダーのうち3グループに所属する37人を除くと、あとは全員が別会社のドライバー。中堅に分類される運送会社も数社含まれているが、零細事業者に出る幕はない。かねて多くのドライバーを参加させてきた大手の関係者の一人は、「うちにとっては各事業所が一つの中小事業者のようなもので、グループとして優勝回数が多いといわれても感覚は薄い」と、決まった会社のドライバーが集うタイトル争いといった問題意識はないようだ。

     
     
     
     

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