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    新車購入後に交渉破綻 「口約束」の責任追及は困難

    2013年2月14日

     
     
     

     トラック業界では、契約書を交わさないなど、あいまいな取引契約によるトラブルは枚挙に暇がない。どんぶり勘定という事業者側の問題がある一方で、強い立場の荷主が取引を故意にあいまいにするなど、優越的地位の濫用とも取れる行為も存在する。埼玉県の事業者は、他社のドライバーの受け入れを巡る一連の騒動に巻き込まれ、仕事がないにも関わらず新車のトラックを購入する羽目になった。荷主担当者の言葉を真に受けた事業者も脇が甘いといえようが、それ以上に事業者を見下した無責任な荷主の態度には業界の置かれた現状が伺い知れる。


     同社のほかにも数社が荷主の仕事を請け負っている。あるとき、同社社長に、荷主担当者から相談を持ちかけれた。他社で働くドライバーが会社を辞めたいと言い出したため、受け入れて欲しいという内容だった。
     ドライバーは、給与体系に納得できないため会社を辞めると言い出したのだが、荷主にとってみれば、経験も長く、仕事を知り尽くしたドライバーに辞められては困るため、同社に受け入れを頼んできたのだ。ドライバーは、その荷主の仕事のほかにも別の仕事をさせられているにも関わらず、仕事に見合った給与が支払われないとのことだった。「運賃も多少は補填する」という荷主担当者の言葉を信じ、ドライバー受け入れのために新車を導入した。
     しかし、給与や運賃交渉で、事前に話していた補填はないと告げられた。荷主から提示された運賃では、ドライバーが納得できる給与を支払うことは不可能だったと同社長は振り返る。新車を導入したこともあり、何が何でも受け入れると意気込んだが、交渉は破綻し、ドライバーは辞職を撤回してしまった。同社が期待していた仕事は露と消え、残ったのは新車と、そのローンだけだった。
     「トラックを導入したことを知っているはずなのに、荷主担当者は我関せずという姿勢で、結局、うちに対する謝りの言葉は聞かれなかった」という。口約束は証拠がないだけに、責任追及は不可能だ。かといって、「契約書を交わすことは難しい」とこぼす。同社では、新車を活用するため新しい仕事を探しているが、「経費を最小限に抑えたい時期に、結果的に無駄遣いをしてしまい、自分の首を絞めてしまった」と悔やんでいる。
     契約書を交わさないという運送事業者側に不利な立場を故意に強いる荷主の存在は、これまでも散見されてきた。しっかりと文書を交わすという習慣を身につけ、業界では当たり前という環境を整えていく必要があろう。

     
     
     
     

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