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    ペナルティー回避へ苦肉の策 シートで隠す事故車両

    2013年2月26日

     
     
     

     新車から1年ほどしか経過していない大型トラックが、運送A社の保管庫の裏側でブルーシートを被せられた状態で止められている。社長に聞くと「事故で廃車も同然の状況」という。相手がなかった自損事故らしいが、人目につきにくい場所で隠すように置かれていることについては「清算しようにもカネがない」と、リース契約ならではの〝ペナルティー〟を回避するための苦肉の策であることを打ち明ける。


     リース契約でトラックを調達する運送事業者は少なくないが、万一の事故でトラックが全損の状態になってしまうと、その時点で契約を終了させるために「残債を一括返済する」のが事前の取り決めになっているという。リース会社によって表現に若干の違いはあるものの、トラックが盗難や事故などでリース会社の占有が失われた場合には「理由の如何を問わず損害賠償金および、未払いのリース代を直ちに支払う」と規定されている。
     A社のリース契約は、いわゆる「買取権」が付保されたもので、5年のリース期間が終われば最初に設定した残存価格(1割程度)で買い取ることができる内容だった。「25万円ほどの毎月のリース料を、1年ちょっと払い込んだ段階で事故が起きた」と社長。
     要は、残りの1000万円余りを一括で返済できないという苦しい台所事情が、ブルーシートを被せて〝隠してしまう〟という行為につながっている。そして、この先も毎月のリース料を払い続ける考えのようだが、そんな短絡的な発想がまかり通るのだろうか。
     ある大手リース会社によれば「原則は一括返済。例外は認めにくい。A社のような行為は契約違反も明らかで、詐欺行為に当たる可能性もある」と指摘。ただ、別のリース会社の営業マンによれば「残価の設定が高いものや、買取権が付けられていないリース契約の場合は別として、(A社のような契約では)期間中の5年間も、買い取りの時点でも現車を確認することはない」と、隠し通すことが不可能ではないことを言外に肯定している。
     そうした事情を知るトラック関係者もいて、ある社長は「車検が切れても放っておけば運輸支局に届け出ている車両台数は変わらないし、同じ手法で『ナンバープレートだけは5枚ある』という状態を続けている5台未満の事業者も知っている」という。さらに、「なかにはナンバープレートだけを残して、損傷したトラックを貿易業者などに売り払ってしまうケースまである。所有者のリース会社とすれば、実体がなくなったトラックの自動車税を払い続けるわけだからヘンな話」と話す関係者もいる。
     仮に車両保険に加入していれば、シートで車体を隠すというバカげた行為は避けられるだろうが、割高感がぬぐえないことから未契約のトラック事業者も多いのが実情だ。
     一括返済に交渉の余地がないことは前述したリース関係者のコメントでも明らかだが、それは甚大な被害をもたらした東日本大震災の際も同じだった。しかも、「車両保険に入っていたにもかかわらず、地震による被害は保険金支払いの対象外となる一方、リース代金は一括返済というダブルパンチに見舞われたトラック会社も多い」との話も聞かれる。

     
     
     
     

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