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物流ニュース
長期的な課題解決へ、出荷・配送先の開拓も模索
2013年3月6日
北海道で進むリージョナル・ロジスティクスの取り組みは現在、北海道開発局と札幌大学が進めている「北海道国際輸送プラットホーム(HOP)」の構築に向けた事業が活発な動きを見せている。しかし、この前にも物流企業、行政、経済団体、金融機関が連携し、「北海道の物流を効率化することで、経済全体の活性化を促そう」という同様の取り組みが進められていた。これは「食クラスター連携協議体」の推進事業だ。
同協議体は、北海道の食産業を振興しようと考える事業体が自由に参画し、様々なプロジェクトを進めるための緩やかな枠組み。この中で、北海道物流開発(斉藤博之会長、札幌市西区)の提案を受け、小ロットの加工食品を対象とした物流効率化の実証実験が平成22年11月〜12月にかけて行われた。
これは十勝管内に温度帯別の集荷拠点を設け、荷主に荷物を持ち込んでもらい、道東地域から札幌に戻るトラックを利用して、荷物を札幌市・新千歳空港方面まで運ぶというもので、斉藤氏が中心となって制度設計を行った。共同で集荷・保管・配送を行う物流の仕組みをあらかじめ設けて、積載率向上と物流コスト低減を狙った。荷主側に「持ち込み」という手間がかかり、配達する時間や場所に一定の制限が出るといったデメリットがあるが、これを上回るメリットを発生させる可能性があるか調べた。
2週間にわたる実験の結果、この間の荷物は4個となり、HOPと同様に「物流の仕組みをつくっても、すぐには出せる荷物を確保できない」という課題が判明した。実験では、「輸送品質に問題はなかった」ことが分かったが、運営側が出荷・配送先の開拓をより積極的に行わなければ、すぐに継続的な事業とすることが難しいと分かった。
斉藤氏は「北海道全体にとっての物流の重要性や、効率化をすることによって地域活性化につながる可能性があるという考えを提示できた」と一定の評価をしている。「我々は物流屋なので、出た荷物をいかに効率的・高品質で運ぶかという点が強み。この事業の設計は実現できた。荷物の開拓というのは本来、本業ではないのかもしれない」と捉えながらも、出荷・配送先の開拓については、長期的な課題として、解決に向けて様々な方面と連携を模索し、動き始めている。
実際には、同協議体の物流の取り組みは約1年間、大きな進展がなかったが、HOPの取り組みに先駆けて始まった、リージョナル・ロジスティクスの構築に向けての動きが続いている。(おわり)この記事へのコメント
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