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    事業継承が引き金 倒産に至るケースも

    2013年3月15日

     
     
     

     事業の継承に苦悩する中小トラック事業者が目立つようになっている。「1台持ち」からスタートし、高度経済成長期とともに歩んできた経営者らが世代交代のタイミングを迎えており、経営のバトンを2代目、3代目に委ねるケースが急増。しかし、儲からない経営実態とは裏腹に、商売を続けていくうえで求められる新規投資や各種規制は大きくなるばかりで、「一流企業に勤めていることもあり、息子には家業を引き継ぐ思いはないし、そうさせたくもない」(加工用の機械を運ぶ運送会社)と、自身の代で会社を畳むと話す社長も珍しくない。また一部では、事業継承が引き金となって倒産へと至るような最悪の事態も発生している。


     中国地方の運送A社を訪ねると、社長と奥さんが神妙な面持ちでスーツ姿の男性二人と話している最中だった。後で聞くと「取引のある信用金庫の担当者で、これまで通りの付き合いはできなくなる可能性があると言われた」と社長。70歳を迎えたころから事業継承を考え始めたが、「二人の息子は大きな会社に就職しており、まったく継ぐ気はない」とのことで、見込んだ社員の一人に譲る考えを信金の担当者らに告げていたらしい。
     しかし、「息子じゃないと(従来の取引関係は)ダメという。本人が優秀かつ、やる気も十分だと説明しても『血縁関係がない』ことなどを理由に聞き入れてくれない」と、予想していないところで事業継承のシナリオにマッタが入る格好になった。「協力するから会社を丸ごと売ることを考えたらどうか…そんなことも言われた」と口を挟んだ奥さんは、「赤字続きだから何を言われても仕方がない」と頬を紅潮させた。
     運送会社を訪ね歩くなかで同種の悩みを聞く機会が増えているが、社長が代わったことで倒産に至るという継承のタイミングの難しさを物語る事例もある。「父親である先代が急死したことで息子が家業に戻ったものの、経営の基本部分について、さらに幹部社員らの人間性が把握できなかったことも災いしたようだ」(取引のある同業他社の関係者)という食品メーンのB社が倒産に至ったケースもそうだった。
     一方、家電メーカーなどの物流を手掛けていたC社が、倒産したのも社長交代が引き金となった形だが、同社の場合は父親である先代が健在のときに入社し、10年間ほどは同じ職場で仕事をしていた点でB社とは異なる。ただ、「数十台を抱える中堅の事業者ということで取引荷主ごとに管理者を置いており、社長が不在でも現場は回るようになっていた」と同社を知る関係者の一人。先代が亡くなる前に社長交代も済ませていたが、統制が取れたように映る組織が皮肉にも問題を招いたと指摘している。
     また、詳細な事情を知り、相談を受けたこともあるという別の関係者によれば「ト協や経営者団体の青年会の会合などで情報を得るのはいいが、『自分も(社長として)何かやらないと…』というヘンなプレッシャーを感じるようになっていた」と話す。
     新しい事業に手を出すことを決断したC社の後継社長は、「企業経営のアドバイザーとしてだけでなく、資金調達の交渉作業などもできるプロを社外に求めた結果、(その人物に)すべてをグチャグチャにされてしまった」(同)と残念そうに振り返る。

     
     
     
     

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