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物流ニュース
運転従事者脳MRI健診支援機構「積極的に受診を」
2022年12月6日
運転従事者脳MRI健診支援機構(東京都新宿区)は、職業ドライバーに「脳MRI」受診を推奨することで、脳疾患に起因する運転中の事故防止を目指している。蒲原正弘事務局長に話を聞いた。
「受診料が高い」イメージのある脳ドックだが、同機構では脳を輪切りにした画像で脳梗塞や脳腫瘍を発見する「MRI」と、血管の状態を見る「MRA」の2つを組み合わせた診断を推奨し、全国一律で2万2000円に設定。「血液検査や心電図など、定期健康診断で行なわれている項目を省き、画像診断に特化することで、低価格を実現している」という。
一般的に、脳卒中は「高血圧性脳出血」「脳梗塞」「くも膜下出血」の3通りに分けられる。このうち、前者2つは「定期健康診断で高血圧や脳梗塞と診断されれば、予防策をとることができる」。
しかし、くも膜下出血は「遺伝的な要素が強く、予兆なく突然発症するのが特徴。MRI検診なしには事前の対策は不可能」とし、「脳MRIで脳動脈瘤を発見できれば、予防的治療が可能」だという。
同機構も参加する国交省の「事業用自動車健康起因事故対策協議会」では、モデル事業として、1万人のドライバーに対して脳MRIのスクリーニング検査を実施。令和2年度、同3年度ともに、全体の2割程度のドライバーに異常が発見される結果となった。
同事務局長は「脳卒中は国民病。トラックについては過去の重大事故を見ても、定期健康診断を年2回行い、しっかり健康管理しているような会社でも起きた例が存在する」と危機感を示す。
同機構発足のきっかけとなったのは、2011年に愛知県瀬戸市で起きたバス事故にさかのぼる。死亡したドライバーの死因がくも膜下出血であったことから、現代表理事の水町重範氏(水町メディカルグループ代表)が当時の国交相との会談などを経て、ドライバーの脳疾患防止のための仕組みづくりに着手。現在では、全国約260ー270医療機関と提携するほどのネットワークを構築している。
同機構を通じて毎年2万人程度のドライバーが受診しているというが、同事務局長は、「ドライバー全体の数からすると全然足りない」と指摘。「人の命と直接関わるバス業界の受診が最も多く、トラックはまだまだ少ない」とし、「助成額、対象人数などは異なるが、ト協や健保組合、陸災防による脳健診の助成制度もあるので活用してほしい」と説明。たとえば、東ト協、神ト協は1万円(5名まで)、奈ト協は2万円(10名まで)、山梨県はト協のほかに、ト協未加入事業者向けに県の助成金もある。
なお、脳健診の受診は「働きやすい職場認証制度」での加点対象になっており、「採用面での効果も期待できる」とも。また、PRに活用できる「脳MRI健診推進事業者証」の車両用ステッカーも発行している。
蒲原事務局長は、「昨年から脳・心臓疾患が労災認定されるようになった。従業員の健康管理は企業の責任となるため、積極的に受診を推奨いただきたい」と呼び掛ける。
◎関連リンク→ 一般社団法人運転従事者脳MRI健診支援機構
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