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    運輸業の「業法違反」急増 帝国データバンク調査

    2013年7月4日

     
     
     

     コンプライアンス違反をきっかけとする倒産が増加しており、その中でも運送事業者の行政処分などによる倒産が急増している。コンプライアンス違反は中小・零細企業が大多数の運送事業者にとっては倒産に直結しかねない問題だ。


     帝国データバンク(TDB)がこのほど発表した「第9回コンプライアンス違反企業の倒産動向調査」によると、2012年度のコンプライアンス違反による倒産は200件で過去最多を更新している。着目すべきは、運送事業者の業法違反というコンプライアンス違反での倒産が急増している点だ。「違反累計別では、昨年4月に関越自動車道で発生したツアーバスの死亡事故以降、監査が厳格化したほか、行政処分を受けた運輸業の倒産が相次ぎ『業法違反』(60件、構成比30%)が初のトップ。運輸業の『業法違反』が急増して、全体の倒産件数を押し上げている」としている。燃料高騰などで経営環境が厳しさを増す中で、さらに営業停止や車両停止の行政処分を受けたことで資金繰りがひっ迫して倒産に至るのだ。
     全国の企業倒産は減少傾向にあるが、コンプライアンス違反が一因となり倒産した企業200件は、TDBが同調査を開始した2005年以降最多で、3年連続で増加している。「近年は中小・零細企業が金融機関に返済猶予を要請する際に、過去の粉飾決算が発覚して応じてもらえずに破たんするケースも多く見られた」とする。
     さらに、運送事業者については国交省から監査手法の見直しで監査情報システムによる一元管理などで処分逃れを防ぐ方向も打ち出されている。TDBの分析では「今後は『粉飾』や建設・運輸業の業法違反に加えて、中小企業緊急雇用安定助成金などの『不正受給』や消費税法違反などの『脱税』取り締まりも厳しくなってきている。コンプライアンス違反が高水準で推移していく可能性は否定できない」としている。
     なぜ運送事業でコンプライアンス違反が増えるのか。行政処分の厳格化という背景とともに、「コンプライアンス経営」が話題になると「法令が守れない」という声が出てくるのも事実だ。だが見方を変えれば、法令順守ができない事業者は常に倒産リスクを抱えた存在であり、荷主にとってもビジネスパートナーとして信頼されない運送事業者ともいえる。法令順守が可能となる運賃を収受することは、荷主にとっても事業存続にもつながる。「他にも運送会社がある」という発想は、特殊な技術を要する輸送には通じない。
     コンプライアンス経営について、危機管理コンサルタントの堀尚弘氏の言葉が想起される。同氏は企業において「思い込み解消」や「マネジメント・コミュニケーションの実践」といったリスク管理手法が知られていないとする一方で、こうした手法が従業員のモチベーションアップやコンプライアンス実践レベルの向上、トラブル発生による無駄な労力と時間の削減などの「収益に貢献するポジティブな成果をもたらすことも確認している」とする。つまりコンプライアンス経営への取り組みは、何かの問題に対応する対症療法ではなく、企業の組織強化による収益改善といった積極的意味を持つということだ。

     
     
     
     

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