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    ドライバー不足と無縁の事業者 応募者殺到の理由

    2013年7月23日

     
     
     

     「求人広告を出しても冷やかしの電話すらかかってこない」「問い合わせは60、70代で、若者の応募がない」など、トラック業界では現在、人材不足が深刻な問題となっている。しかし一方で、人材不足とは無縁の事業者も存在する。人材不足に悩む事業者と、そうでない事業者との違いは何か。


     埼玉県のA社では新聞広告やインターネットに求人を掲載しているが、「全然ダメだね。たまに来ても高齢者ばっかり」と言う。B社(同県)は求人情報誌に掲載すると「2~3か月前は6人も来た」と言うが、「これは今までにない人数。20代から60代までいたが、とりあえず全員採用した」と話す。
     C社(同)は、「従業員からの紹介」でドライバーの確保を図っている。「紹介で入ったドライバーが半年続いたら、紹介してくれた従業員に紹介料として3万円を払う」という仕組みで、ほかの事業者も採り入れているという。「自分の信用に関わるから、なかなか紹介も難しい。しかし、紹介で入るドライバーは質が良い」と同社社長。このほか、「求人サイトを通じて〝入社祝い金〟を出している」など、あの手この手でドライバーの確保を図っているようだ。
     そんな中、「ウチは2年待ち」と、ドライバー志願者が多く、入社待ちの者までいるというのは東京都江戸川区のD社だ。同社が手掛けるのは、特殊車両を使った電車車両や軍用機、大型機材などの輸送と精密機器の輸送。「ほとんどが深夜、早朝の仕事」であるにもかかわらず、働きたいという者が後を絶たず、30歳前後でトレーラの免許を取って志願してくる人が多いという。「とにかく大きいのに乗りたいんだろうね。2車線使って走らせる特殊車両は、何年もかかってやっと乗りこなせるもの」と同社社長。技術と経験がものを言う「職人ドライバー」の世界に憧れる若者は少なくないようだ。
     同千代田区に本社のあるE社では、ドライバー派遣も手掛けている。「仕事の量との兼ね合いで、今までにも〝ドライバー不足〟の波はあった。今に始まったことではないし特別対策をとるという感じではない」と同社社長。派遣という仕組みで需給のバランスをとり、今まで乗り切ってきたという。
     埼玉県のF社は、「人材不足を感じたことはない。社員が辞めないのも大きい」とのこと。運送業のほかに製造業も営み、勤務形態が安定している。同県に本社を構えるG社も「不足するという心配をしたことはないし、今後もウチは大丈夫じゃないかと思う」と自信をのぞかせる。同社は倉庫業や物流コンサルティング業など経営の多角化を図っている。
     また、病院などへの食品の納入を主として手がけるH社(同県)も人材不足とは無縁と言い、「業務の性格上、荷主や納品先でコミュニケーションを取らざるを得ない。それが、ただ物を運ぶドライバーと違い、やる気につながっている」と分析。「土日祝日が完全に休みということもあってか、募集をかけるとすぐに人が集まる」とも話している。
     大手宅配業者では、平日の昼間、短時間という勤務形態で主婦層をパートドライバーとして取り込んでいる。労働者のライフスタイルに合わせた働き方の提案で、潜在していた雇用の掘り起こしに成功し、ドライバー不足を解消している。労働者の持つ潜在的なニーズに見合う労働内容を提供できるかどうかが、ドライバー不足解消への鍵となるのかもしれない。

     
     
     
     

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