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物流ニュース
人材採用と確保のノウハウ 努力と工夫重ねる企業
2013年9月17日
少子高齢化や若い人材の業界離れなどで、トラック運送業界では慢性的な人材不足といわれている。そうした中でもさまざまな努力と工夫によって人材確保に成功している企業がある。
新東海(名古屋市中区)など低温食品輸送をメーンに手がけるグループエスカラデー(片山恭伸統括本部長)では6月、自社ビルの1階部分に託児所「ひまわり」を開設した。午前8時から午後8時までの間、保育士3人体制で社員の子どもを預かる。
「人材不足で困っていると言うが、雇用する側は努力をしているのか? という疑問があった」と話す片山統括本部長は、2年前の社員寮建設に引き続き、育児と仕事の両立を図る〝サポート部隊〟として託児所の開設に踏み切った。当面は自社グループの社員やドライバーに安心して仕事をしてもらうことを目的とするが、園長の善福愛梨さんは「シングルマザーやシングルファーザー、夫婦共働き世帯など、ドライバーとして働くことができなかった求職者の方にも、ぜひ判断材料にしてほしい」と将来の展望を話す。
「ドライバーのことを常に考え、喜ばせてあげなければ人材は確保できない」。こう語るのは栄光陸運(愛知県碧南市)の鈴木栄子社長だ。同社はバブル崩壊後に設立し、今年で創業20周年を迎えた。「景気が後退する中で成長できたのは従業員のおかげ」と感謝する。採用後、少なくとも1年間は同社で働くことを条件に、玉がけやフォークリフトなど3種類の資格を、費用は会社負担で取得させている。ドライバーの専門知識と意識の向上につなげるための投資だという。
また、このほど、本社横にヒノキでつくったシャワー室を設置した。「汗をかいて帰ってきたドライバーに、少しでもサッパリして疲れを取ってほしいと思いついた」。同社従業員であれば24時間無料で利用でき、洗濯機も完備。「仕事をしやすい環境をつくるのは経営者の義務」と言い切る鈴木社長。従業員の定着率は高いという。
三栄運輸(山本貞夫社長、三重県伊賀市)では、原則として採用は社員の紹介のみという社内規定を設けている。紹介する側、される側それぞれに責任感を持たせることが目的だ。「昔はトラックが好きだから働きたいという人間が大半だったが、今は休みがどれだけあるのか、給料はいくらなのか、という質問が先に出てくる。職業へのこだわりや憧れがまったくない」と嘆く。
時代の流れと割り切る一方、「ドライバーは危険をともなう仕事。責任感のある人材でなければ入社させるわけにはいかない」と、社内規定策定に取り組んだ。すでに社員の紹介で3人が働いているが、いずれも真面目な働きぶりだという。ただ、「どんな対策をしても、社長である私が背中を見せなければ、ドライバーはついてこない。模範を示して『君のことはちゃんと見ているよ』という思いを伝える努力をしている」とリーダーシップの重要性を話す。
一方、「最近、女性や他業種から転職してくる中高年者が増えた」と語るのは中田商事(同)の中田純一社長だ。同社では3年前に給与体系を歩合給制からデジタコと人事考課を基準とした時間給制に移行。自分の力で増やせる給与から安定的に支給される給与へと移行させたことで、採用の間口が広くなったという。
「土日だけ仕事をしたいという女性や、年金をもらっているので一日数時間の勤務でいいというシルバーもいる。こうした需要は時間給だからこそ採り入れることができた。おかげで10代〜60代が働いている」と中田社長。これからもスキルとライフスタイルにあった雇用を進めていく方針だ。この記事へのコメント
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