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【中小企業戦略の道】ナンカイ滋賀 奥野専務「信用・信頼につながる独自商品へのこだわり」
2023年8月18日
1920年、時代の要請に伴って紡績機用品の製造をはじめ、さらに1966年には建築部品の製造に着手したナンカイ工業(立川真敬社長、大阪府泉佐野市)。100年を超えて、「衣」と「住」という、社会になくてはならない分野でモノづくりを続けてきた。そして2004年に設立されたのがナンカイ滋賀(吉田健二社長、滋賀県湖南市)で、鉄骨住宅部材を中心に、「高品質」「適切なコスト」での生産を展開している。そこでの溶接加工など得意とする技術を生かして、オリジナル商品の開発に取り組んできた。
同社が緻密な構造計算と繰り返し実施した輸送テストにより完成させたオリジナル商品が、トラックの積載量が最大2倍にアップするトラック荷台用の折り畳み式架台「フォールド・デッキ」だ。
「以前の別会社が立ち行かなくなったところ、新会社として設立されたのがナンカイ滋賀である」と設立の経緯を説明する奥野隆専務。当時、付き合いのあったパートナーから「設計して試作した商品がありますがやってみますか」と連絡があり、立ち消えになりかけていたところを、「やります」と返事して完成させてのが「フォールド・デッキ」だ。
「親会社は今年で創業102年を数えるが、繊維関係のメーカー品を持っており、オリジナル商品を持つことによる安心感を痛感していた。ナンカイ滋賀にも、自分のところのメーカー品が必要だと考え、『ナンカイ滋賀で作らせて下さい。製造権を下さい』と答え、始めるに至った」
折りたたみ技術で特許を取得し、2004年から試作をスタートさせ、2005年に発売開始に至った。なかなか人目につかない商品ではあるが、口コミで広がって今では1000台以上出荷しているが、これまでに一度も事故の報告がない。
「どういう形で上げ下げさせるか、フォークリフトさえあれば1人の作業員でできるのではないか」など試行錯誤を繰り返した。すべて自社で製造しているのも強みであり、信用・信頼につながっている。「何よりも安全が一番と考えている。長い間使ってもらえるように、強度の問題や扱い方を簡単にするなど試験を重ねた」
「われわれはものづくりには自信があるが、物流業界には詳しくないので、お客様からいろいろ教えてもらいながら作ってきた。お客様からのヒントで気づきを得て、共により良いものに築きあげている」。太陽光パネルを輸送するため試作品を作って、上段と下段にそれぞれGメーター(重力加速度計)を積んで試験走行した際は、「その差を比較してみたところ、上段と下段で同じ数値だったので正式採用となり、さらに量産もいただけたことが大いに自信になった」と振り返る。
「労働時間削減や環境対策、事故防止にも有効など、今の物流業界が抱える問題に貢献できる商品であるということから、『もう一回、フォールド・デッキに力を入れよう』と、社長の呼びかけもあり昨年から動き出した」という。専用Webサイトをリニューアルし、顧客への提案強化に取り組んでいる。
「お客様から喜んでもらえることが何より。当社は好奇心があればやらせてもらえる会社であり、ものづくりは面白い。こういうものがあったらいいのにな、という意見をもっと聞きたい」と話している。
◎関連リンク→ ナンカイ滋賀株式会社
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