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    事故報告規則 事故を隠す事業者、実態反映できる制度か

    2013年11月14日

     
     
     

     トラック運送事業者らに報告義務を課している報告規則上の事故件数は、実態を表したものなのか。事業者にとってのネガティブ情報を事業者自身が報告する制度設計に疑問がわいている。
     近畿地方に本社がある事業者は数年前、運輸局に事故報告規則上の報告を上げ、受理されている。事故報告規則が定める、いずれの報告義務にも該当しなかったが、危険物輸送に携わっているため、「あとで報告しなかったと発覚することを避けたかった」という理由からだ。


     事故報告規則は、道路運送法などに基づいて定められる省令の一つで、「死者又は重傷者を生じた」事故や「高速自動車国道において3時間以上自動車の通行を禁止させた」事故など15の類型で事業者の事故報告を義務付けている。
     事故の実態は「追突事故で、報告義務はなかった。ただ、危険物輸送をしているため安全意識からくる自己防衛もあり、報告した」というが、「こうした報告まで受理されたままになっているということは、裏を返せば報告が実態を表しているのかといった調査はなされていないということ。本来、報告義務のある事故がありながら、報告が上がっていないケースも考えられる」と話す。事業者の疑念は、事業用自動車の事故把握制度そのものに対するものだ。
     もっとも、こうした「事故隠し」のケースが、そうそうまかり通るものではないことも次の事例からうかがえる。あるトラック運送事業者に以前勤めていた乗務員は数年前、認知障害のあることを告げずに入社。乗務を始めて数日後に数台の乗用車と接触する事故を起こした。幸い、けが人もおらず、事故報告規則上の類型に該当するものはないと社長は判断。ためらいはあったというが、規則上の報告はせずにいた。
     ところが数か月後、運輸局から「報告を上げてください」との連絡が入った。社長は類型に該当しないことを告げたが、事故があったのは事実、との解釈で局の依頼に従った。社長は、「釈然としなかったが、事故を起こした負い目があるので争わなかった」と話す。
     事故報告規則上の事故件数は、国交省が事業用自動車の事故認知件数と同様に扱うことから、事業用自動車業界の安全を表す指標になるもの。国交省は実際、「事故報告規則に基づき報告があった事業用自動車の重大事故件数及び死傷状況等」を毎年の統計年報に上げている。
     関係者はこうした状況について「実態を反映できるかは疑問。Gマーク制度など、事故報告規則を使うと事業者には実際上のデメリットもある」と話す。

     
     
     
     

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