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物流ニュース
還付措置実現するか 経営圧迫する地球温暖化対策税
2013年11月25日
平成24年度の税制改正で石油石炭税に課税特例が設けられ、「地球温暖化対策のための税」(以降、地球温暖化対策税)が10月からスタートした。CO2を排出した量に応じて事業者が負担するもので、3年半かけて段階的に税率を引き上げる。先の全国トラック運送事業者大会でも、燃料高騰対策の一つとして同税の還付制度の創設が決議された。12月の政府税制調査会で決まれば、平成26年4月にも還付措置が行われる見込み。事業運営を圧迫する燃料価格の具体的な改善策となりえるだけに、事業者はしっかりと備えたい。
地球温暖化対策税は、石油製品・天然ガスなどすべての化石燃料の利用に対し、環境負荷に応じて広く薄く公平に負担を求めるもので、それぞれの負担がCO2排出量1トン当たり289円に等しくなるように税率を設定。平成28年4月には最大で760円の負担増となる。石油製品については、現行、元売りや販売店の販売価格に転嫁されている。平成24年10月の施行時は、現行税率に250円加算した2290円でスタート。以降、同26年4月に2540円(+250円)、同28年4月に2800円(+260円)と負担が大きくなる計算だ。
全ト協調査によれば、25年度のトラック業界の増加負担額は、施行前と比べ41億円増加。同26年度の引き上げで82億円、同28年度の最終引き上げで125億円と膨らみ、燃料価格の高騰が負担となっている事業者にとっては大きな痛手となる。
そこで国交省が同26年度税制改正の要望事項に挙げているのが「地球温暖化対策税の還付制度の創設」である。環境にやさしい営業トラックと自家用トラックに格差を設けることで、「自営転換」を促すとともに、厳しい経営環境の中で環境、安全対策、輸送サービスの改善などに取り組む事業者の税負担を軽減し、安定した輸送力の確保と輸送コストの抑制を図ることが目的。消費価格の下落に伴うコストダウンなどで運賃・料金の下落が進行している状況に、さらに税負担が増大すれば、これらを確実に推進できないとして、還付制度の創設を要望している。これまでも、業界の要望を受けて平成22、23年度と新設要望を出しているが、いずれも実現されていない。
すでに昨年10月から還付が行われている内航船の還付申請の手続きには、(1)元売り直売②販売店購入の2パターンがある。(1)の場合、海運事業者は3か月ごとに燃料消費量を内航総連合会などの海運団体に報告する。海運団体は消費量を確認の上、国交省に用途証明申請を行う。用途証明は、最終的に還付対象者となる元売り事業者の手に渡り、燃料販売量と合わせて税務署に申請。還付が行われるという仕組みだ。(2)の場合、販売店が海運事業者に販売した量と海運団体に報告される燃料消費量が一致しているかどうか、全国の石油販売業者をまとめる全石連が照合する作業が必要になる。海事局内航課によれば「還付されたお金を燃料価格に還元するのは難しいと元売り事業者からの回答があった。そのため、いったん海運団体に還付金を支払い、各事業者に再分配している」という。
トラック業界で還付制度が実現すると、海運業界に倣えば全ト協が窓口になって同制度を進めることが予想される。ただ、全ト協ではこれまで、太田昭宏国土交通大臣や自民党の細田博之幹事長代行、高市早苗政務調査会長ほか与野党の議員に対する要望を行っているが、現時点で具体的な回答は得られていない。仮にト協が還付の窓口となった場合、会員外の事業者をどう扱うかなど、課題も残る。この記事へのコメント
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