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    五輪開催の恩恵は トラックショー来場者にアンケート

    2013年12月9日

     
     
     

     2020年、東京にオリンピックが帰ってくる。臨海部を中心に競技場などの新設やインフラ整備が進む。また、国内外からの観光客の増加に伴い、食品・飲料ほか雑貨類の物量の増加が見込まれ、運送事業者の輸送力への期待も高まっている。一方、業界への新規参入の厳格化や人材不足から、荷主が物量増加に対応できない事態も予想される。経済効果は「3兆円」ともいわれているオリンピック。トラック業界に恩恵をもたらし、長年の悲願である運賃アップを獲得できるか。弊紙では、「東京トラックショー2013」に来場した運送事業者150人を対象にアンケート調査を実施(有効回答数147人)、五輪開催の影響や対応について聞いた。
     みずほ総合研究所発表(9月27日付)の「2020東京オリンピックの経済効果」によると、五輪開催による直接効果だけを見ても、競技会場の新設や観光客増加などの新規需要が約1兆円、建設、小売りを中心に21万人の雇用が創出される試算だ。


     弊紙アンケートでも「東京近郊の仕事が増える」「消費が増える」などの理由で、全体の68%が自社の取扱物量は「増加する」と回答している。荷動きに関しては、「かえって物量は減って運賃も下がるのではないか」と危惧する岩手県の事業者(建築資材・セメント、35台規模)や、「東京近郊の仕事は増えるだろうが、地域によって差がある」という宮崎県の事業者の声もある。
     また、「すでに運賃は上がり始めている。見積もりを出すと、その値段でやらなければならないので、事業者が見積もりを出さず様子見をしている」など、建築資材や鉄鋼を扱う事業者は「物量増加」を実感している傾向にあるが、精密機器を扱う事業者(東京都多摩市)は「全く関係ない。オリンピックが来ても来なくても仕事は変わらない」と予測。取扱荷種や地域性により荷動きの状況に差があることが分かる。
     「自社で増車・増員をする」と答えた事業者は38%にとどまり、62%が「変わらない」と回答。経営体力のある事業者が、多少のリスクを伴ってでも増車・増員を積極的にする方向で捉えている一方で、「需要の増加は一過性のもので、いつまで好景気が続くかわからない」との不安をにじませる中小・零細事業者も少なくなかった。また、「利用運送から自社便に切り替えてコストダウンを図りたい」としながらも、「人員不足」を理由に「増車できない」と答える事業者も複数見られた。
     今後、建設や小売業などで雇用増が予想される中、業界の人手不足がさらに深刻化するだけでなく、国内の物流にかかわる車両、傭車の確保が難しくなる可能性もある。そのため、オリンピックを運賃アップの好機と捉えている事業者は約半数で、荷主が必要台数を確保できなければ、輸送の停滞を回避するために運賃を上げざるを得なくなることも十分に考えられる。
     すでに荷主への運賃交渉や社内環境の整備などの取り組みを進めている事業者もいる。埼玉県で食品を扱う事業者(保有台数300台規模)は「『運賃を上げてもらえなければ仕事はできない』と刺し違える覚悟で交渉に臨む」としており、イベント関連の仕事を手掛ける事業者(同)は、「仕事が増えることを見越して、ドライバーの基本給を1万円アップさせた」と強気の姿勢だ。
     今回の調査では、オリンピックの開催以外に「アベノミクスによる経済効果」「消費税増税」「人件費、燃料費等の値上がり」なども好機と捉え、交渉のタイミングを見計らっている事業者も多いことが明らかとなった。
     予想される「人材不足」「トラック不足」から目をそらさずに、荷主と対等に交渉できる事業者が生き残っていくだろうと話す事業者もいる。国を挙げての一大イベントが、国民生活のライフラインとしての「物流」を再認識させる機会となれば、業界が活性化し、ひいては運賃アップにもつながっていくといえるのかもしれない。

     
     
     
     

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