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    佐川急便・改革の全容 ロジコンシェル近藤社長が語る

    2014年3月10日

     
     
     

     社員の大量辞職に始まり、〝佐川ショック〟とまで言われた運賃の値上げで、昨年は物流業界で話題の的となった佐川急便。一連の騒動の根底にあるのは、自社の体質改善と適正単価の収受だった。佐川急便でセールスドライバーと本部での勤務を経験し、現在も同社OBとの親交があるというロジコンシェル(東京都中央区)の近藤正幸社長に話を聞いた。
     時代の流れに対応するため、体質改善が求められていた。昨年3月、退職金制度を大幅に改定。一時金としての全額受取ができなくなるとして、社歴が長く、比較的給与水準の高い社員が辞めていったという。


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     管理職も例外ではない。近藤氏によれば、かつて佐川急便の社員は、独立資金を貯めるために入社した者が多く、「3年、5年で辞めるつもりでいたのに、忙しい中にも仕事の面白さややりがいを感じ、気が付けば10年、20年働いていたという声を聞く」という。社員の大量辞職も、「あくまで夢に再挑戦するきっかけとして捉えていて、決して会社に不満を持っていたからではない」との見解だ。
     それに伴う人員不足で品質の低下が叫ばれたが、社員の辞職が直接の原因ではなく、「繁忙期による人手不足と相まって、現場が混乱していたからだ」と同氏は話す。
     一昨年から昨年にかけて、佐川急便が荷主に対し強硬な値上げ交渉を始めたようにいわれたが、以前から取り組んできたことだという。実際に同業他社も運賃交渉は行っていて、荷物を集めて個数を確保すると単価が下がるので、単価アップの交渉をしてきた。
     これまで、佐川急便では一律運賃が存在していた。路線会社に対しては、距離に応じた運賃を支払っていたものの、顧客からは「荷物の大きさ」「トラックの走行距離」に応じた割増運賃分を回収できていなかった。そのため「長距離・サイズの大きい荷物に関しては適正な運賃をもらおうと取り組んでいるのが今の施策だ」と同氏は話している。
     佐川急便はこれまで「何とかして顧客の要望に応えよう」と多様な仕事を受ける傾向があった。しかし、取扱荷種が多くなるにつれて伝票の種類が増え、現場で誤配などが起きるようになった。そのデメリットを解消するため改善策を講じたが、「荷主から見れば杓子定規になってしまったと感じるかもしれない」と同氏は話す。
     アマゾンとの一件も、運賃値上げの流れに沿ったものである。「ボリュームのある仕事だが収益が上がると思ったがそうではなかった。利益が出ていた仕事であれば当然継続するが、利益が出ないので適正な金額を提示した」と同氏。それに対するアマゾンの回答がNOだったという。この件に関しては双方の合意が得られず契約には至らなかったというだけで、別の部分での取引は続いているということだ。
     佐川急便が顧客からもらう運賃が低下すれば、協力会社に支払っていた金額は当然下がる。同じことをやっていても収益は下がる一方で、支払金額を下げなければ成り立たない。現状、仕事内容に見合わないと思った事業者は離れて、今がチャンスと捉えたものは残っているという。
     近藤氏は、事業者に対し佐川急便の一連の改革を「長い目で見てほしい」と強調する。
    「現状を考えれば、佐川急便の行った値下げをひどいと思うかもしれない。しかし、単価が上がれば協力会社の運賃も上がり、業界全体の向上にもつながる」と期待を示している。
    ◎関連リンク→ 株式会社ロジコンシェル

     
     
     
     

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