国交省が７月２１日に創設したトラック荷主特別対策室（小熊弘明室長、物流・自動車局貨物流通事業課長）。通称「トラックＧメン」の１６２人（本省及び地方運輸局、地方支局などの国交省職員）が、トラック運送事業における適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業・元請事業者の監視活動を行っている。発足から３か月が経過して、１０月６日に発足後の活動実績が発表された。

国交省によると、トラックＧメン発足後（７月２１日～９月２９日）の実績は、貨物自動車運送事業法に基づく「働きかけ」を１２０件、「要請」を５件実施。「発足前と比べて実施件数が大幅に伸びた」としており、違反原因行為の解消を図りたいとしている。

なお、この「働きかけ」１２０件について、Ｇメンでは「どのエリアでどういう内容に対して働きかけを行ったのかについては公表していないが、全国に配置したＧメンが集めた情報を、本省が集約して法執行を行っているので、地域での偏りはない」という。

Ｇメンのトラック事業者への情報収集活動がどのような基準で行われているのかについては「すべての事業者を対象にしているが、ある程度、検討をつけながら活動しているほか、Ｇメンができる前に集まった情報の調査も進めている」としている。

トラックＧメンは発足から約２か月で、「働きかけ」の件数が昨年度１年間に比べて４倍強となるなど、成果を上げているが、事業者の多くが「取引が打ち切られる」として、「会社が特定されない形でなければＧメンには対応できない」と話している。

これに対して、Ｇメンも「荷主がこういうことをしていますと話すことは、告げ口になってしまうので、契約上とか業務上の不利益を被ると思っている事業者は多い」とし、「情報はあるが、荷主には言わないで欲しい」とする意見が大半を占めている。

「事業者から『情報の出所がわかると困るので、使わないで欲しい』と言われた情報については、Ｇメン発足前の目安箱の匿名情報と同様に、問題解決を進めていくための参考情報として集めており、情報の出所が外出しないように注意している」と話す。

一方、荷主については「『荷待ちの解消に取り組んでいるが、行き届いていない部分もあると思うので、具体的に教えてもらえたらすぐにでも改善する』というような、改善の意思がある荷主も増えてきているので、事業者からの情報は必要」だとしている。

具体的な情報があれば、改善の意思がある荷主に要請することができる。「情報を寄せれば、例外なく荷主が改善してくれる」となるためには、「悪徳」な荷主には常にＧメンが監視しているというプレッシャーをかけることが重要と言える。

Ｇメンは１０月から、国交省と厚労省の「荷主特別対策担当官」をはじめとする関係行政機関の地方実施機関（経済産業局、農政局、労働局）と連携し、荷主企業に対し、合同でヒアリングを実施。また、１１月～１２月を「集中監視月間」と位置付け、措置を講じる。

これまでにトラックＧメンが収集した情報や調査結果等を照らし合わせ、１１月～１２月の「集中監視月間」では、悪質な荷主に対し、その状況に応じ、法に基づく「働きかけ」「要請」「勧告・公表」といった措置を講じていくとしている。

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