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    中型免許制度で総重量7.5トン案が浮上 

    2014年5月23日

     
     
     

     中型免許制度の見直しも含め、警察庁は「貨物自動車に係る運転免許制度の在り方に関する有識者検討会」を設置。昨年9月に第1回検討会、そして同12月には第2回検討会が開催され、これまでにトラック業界の代表として全ト協が意見を述べるなどしている。こうした中、4月15日に第3回が開催され、EUの免許制度の実態や交通事故遺族に対するヒアリング結果などを踏まえて意見交換が行われた。その結果、基礎的免許の創設と、18歳以上で運転可能な範囲に、総重量7.5トンを軸とする案が浮上してきた。
     これまで2回に渡る検討会を開催してきているが、免許制度改正要望団体などのヒアリングを通じて、高校卒業生の就職における問題、業界のドライバーの雇用状況など、貨物自動車を運転するための免許制度の見直しについて、その必要性を認識してきた。今回の検討会では、そうした認識のもとで、諸外国の動向や被害者遺族へのヒアリング結果をもとに、対応策について話し合われた。


     免許区分の見直しにおける対応策では現在、3つの案が出ており、その案を中心に検討が進められている。3案はそれぞれ、A案=「普通免許で運転可能となる車両の車両総重量の上限の拡大」、B案=「中型免許で運転可能となる車両の部分的な年齢引き下げ」、C案=「普通免許と中型免許の一部を新たな区分として貨物自動車等の基礎的免許の創設」で、安全性の確保、交通事故遺族を含めた社会合意の見通し、海外の事例との整合性などをもとに検討を深めるとされている。
     今回の検討会では、海外の事例としてEUの事例が提示された。EU各国では、ほとんどの免許制度が総重量3.5トンまで、3.5トン以上7.5トンまで、7.5トン以上といった区分があり、7.5トンまでは18歳以上で取得可能で、7.5トン以上は21歳以上となっている。
     ただ、3.5トン超に関しては18歳ですぐに取得できるわけではなく、まず3.5トンまでの免許を取得した後に、7.5トンまでの免許を取得するという段階を踏むことになる。
     こうした事例を踏まえ、同検討会では今回、対応策として18歳で取得できる運転免許区分に、新たに総重量7.5トンを軸とする案が浮上してきた。検討会では被害者遺族のヒアリングやEUの免許制度と比較した中で、3つの対応案に対する対策や方向性が示されたが、A案では内閣府令改正で対応が可能というものの、「貨物車による教習が行われない」「事故防止の観点から方向性に逆行する」「安全面の観点からの懸念がある」という問題が指摘された。また、B案では法律改正が必要だが「貨物車による教習が行われる」と安全性の担保が示されたが、「安全面の観点からの懸念がある」との問題が指摘された。
     C案は法律改正を必要とするものの、貨物車による教習が行われるほか、「事故防止の観点から普通免許の対象を限定するという従来からの制度改正の方向性に合致する」「車両の特性を十分理解した運転が期待されることから、社会合意の可能性は存在する」との指摘。さらに、海外事例との差異についても、「EUにおける貨物自動車用免許を要する車両総重量の区分とのかい離が縮小する」と指摘された。
     今回の検討会ではC案の実現可能性が示され、3.5トン以上7.5トン未満の新たな免許の創設を含め、7.5トンを軸にした案がでてきた。現状ではまだ決定ではなく、案段階で引き続き検討を進めるとしているが、6月に開催予定の第4回検討会では、これまでのヒアリングや調査結果をもとに素案が示される予定。中型免許問題はいよいよ次の段階に向かったといえる。

     
     
     
     

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