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    かつて権利、いま人材 なお廃業に敏感な事情

    2014年7月30日

     
     
     

     「うちの分は昔の運送免許。その辺りの許可とは値打ちが違う」と話すトラック事業の経営者も、まだまだ最前線で活躍しているが、違った表現でいえば「うちの電話回線は10万円の権利金が必要だった時代のもの。だれでも引ける現在のものとは違う」…と、そんな感じかもしれない。それほど貴重だった免許も平成2年の新法以降、「許可と見なす」という行政の判断によって従来の価値は消失したといえる。ただ、それでも「廃業する運送会社があれば免許(許可)を買いたい」とアンテナを張る業界関係者は少なくないが、手に入れようとする背景は明らかに変化しているようだ。


     「休止ではなく、事業廃止にして許可を戻してくれればウチは助かるのに…」と燃料販社の関係者。取引先であるトラック事業者が経営に行き詰まるケースに何度も遭遇してきたという同氏によれば、「事業廃止ということであれば、軽油引取税だけは戻ってくる。でも、いまだに(許可の)売り・買いが行われることも多いようで、休止扱いにするケースも目立つから困ったもの」と打ち明ける。
     トラック経営者のなかにも勘違いがあるようで、「許可は廃止するしかないが、昔の免許は一生モノ。休止させておけば、いつでも増車して簡単に事業を再開できる」といった思い込みを聞くことも珍しくないのが実情だ。複数の運送免許を持っていた広島県の運送会社が数年前、一つの会社について休止届を予定したところ、誤って「廃止届」を運輸支局に提出。数日後に気付いて撤回・修正を求めたものの、聞き入れられずに大モメしたことがあったが、その経営者も数十年前に手に入れた当時の免許を財産ととらえていた。
     行政当局によれば「許可の売買など市場価値についてはわからないが、以前の免許と現在の許可には何の違いもない。新法によって、すべて同じ許可の扱いと見なす行政処分が行われている」(運輸支局の担当官)と説明。まことしやかに流れる〝一生モノ〟という都市伝説についても「休止届が出された場合は、例えば1年など定期的なチェックを実施したうえで、仮に実態がなければ(免許でも)強制的に取り消すことはあり得る」という。
     完全に価値を消失してしまった感のある運送許可だが、むしろ「ヘタな買い物をして借金が付いてくるくらいなら、新規許可を取れば済む話。書類さえあれば簡単に取れるし、自分で手続きすれば費用も掛からない」という経営者が若手を中心に増えているのも事実。ただ、いまも同業の廃業情報のニーズは根強く、運送許可だけ、もしくは会社を丸ごと買おうという動きが消えたわけではない。
     「昔は新しい仕事を増やしたい思いが大きかったが、いまは即戦力のドライバー確保が一番」と、廃業会社を手に入れる新しい魅力を口にするのは、岡山県で雑貨品などをメーンに扱う運送会社の社長。
     建材や機械部品などを扱う兵庫県のトラック事業者も同じ意見だが、「どうせなら譲渡譲受で許可だけを買うのではなく、会社を丸ごと買うほうがいい」(社長)と話す。
     新規許可を取得するのと同様に、いまは法令試験を受けないとダメになった譲渡譲受とは違って「会社ごと買えば代表者変更などの手続きで済ませられる」ということらしいが、確かにメリットといえなくもない半面、もれなく借金が付いてくるという大きなリスクもある。800万円で廃業会社を買ったという当時を思い出しながら、「1年間くらいは本社の住所を移さず、会社名もダミーの状態。しばらくして借金取りが現れたが、それが片付いた時点で正規の手続きを済ませた」と同社長。「でも、ヤミ金のムードを感じたら手を引くべき。法的にカネを払う必要はなくても、いくらか取ろうとして騒ぐなど商売に影響が出る可能性は高い」と、こちらも経験を踏まえて話している。

     
     
     
     

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