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物流ニュース
いかるが乳業 温度・品質管理を徹底「価格競争に巻き込まれない」
2014年9月8日
創業から、あと2年で100周年を迎えるいかるが乳業(鵤勝彦社長、大阪市平野区)。食品業界の価格競争激化により生産の合理化を進め、今は自社でしか作れない牛乳やジュースなどを製造している。また、ヨーグルトや洋菓子、ワイン、外食用の食品などの卸売りも行っている。同社の物流への取り組みを森田実知夫営業部・管理部統括部長に聞いた。
「同業他社が、あまり参入したがらない外食産業や病院・老人施設向けの商品が増えてきた」と話す同氏。生産の合理化を進め、量販店への販売を減らしながら、病院や老人施設への販売を増やしてきたという。その理由として、量販店やスーパーへの販売は大手との価格競争に巻き込まれるからだと話す。販売店の減少などもあるようだ。
また、喫茶店やレストランなど小口受注のため、大手があまり参入したがらない外食産業で受注・配送を担ってきたが、最近では喫茶店が、海外のコーヒーチェーンなどにとって代わられているのが現状で、年々、売り上げが横ばいか数パーセントの減少だという。そんな中、同社の売り上げの中で成長を遂げてきたのが病院・老人施設への牛乳・ジュースの販売だ。
今から20年前、当時は病院や老人施設への納品は近くの牛乳販売店が行っていたが、これからは高齢化社会を迎えるので他社に先駆けて真剣に取り組もうと、会議で話し合われたことによる。
まず、自社の車で温度管理と品質管理を徹底。今では当たり前になったが、同社は20年前から製造から販売まで10度以下で保つ管理を行ってきた。末端の販売店まで温度管理体制を行き渡らせるのは難しく、販売店を介さずに納品している。同氏は、「当社では20年前から冷蔵車を導入しているが、業界の中での導入は早かった。当時は、温度管理の面でいい加減な業者も多く、当社は信頼を重ねていった」とし、「今では配送先に着いたら手洗い、温度測定、マスクや帽子の着用、靴の履き替えなどの衛生面での社員教育を徹底している」と話す。
また、商品開発では、病院の看護師や栄養士の意見を参考にしており、重たいビンから軽くて便利な紙パックに変更したり、低脂肪乳にカルシウム、マグネシウム、鉄分を加えたりと商品開発には注力している。その成果もあり、同社は大手給食会社数社から関西地域での牛乳の供給を1社指定で委託されている。
同社の配送は、2トン車が主流で20台を自社で所有し、自社で賄いきれない分は運送会社に委託している。委託先も2トン車20台ほどと話す。委託会社とは毎日、些細なことでも連絡は取り合うようにしており、月に1回は担当者が委託会社に出向いて会議に出席している。衛生管理の面でも、同社と同じくしっかりとした社員教育が行き届いていると話す。
配送範囲は大阪、奈良、京都、滋賀、兵庫で、病院・老人施設でのシェアは関西で1番だと言う。また、「トラック業界に若手が増えていないのが心配。ドライバーが運転や積み下ろしなど、年を取るほど健康へのリスクが上がることを懸念している」と話す。
今後の展望について、「エリアの拡大を検討している。新しい老人施設は地方に出来る傾向があり、対応できない地域で今までかなりの依頼を断ってきた。今後も、地方に大きな施設ができるはずなので、足を広げていきたい」とし、「すでに西地域では兵庫県西宮市にデポを持つ運送会社と契約し、8月からエリアを拡大する。中国地方への展開を検討している」と語った。
◎関連リンク→ いかるが乳業株式会社この記事へのコメント
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