-
物流ニュース
保有車両10台以下の運送事業者 65%が赤字経営
2024年7月23日New!!
運送業界では、半数近くの事業者が赤字経営という異常事態が続いている。中小・零細事業者が全体の9割を占めるだけに、脆弱な体質は否めないが、それでも黒字企業が半数では、業界として何とも心もとない。
東京都トラック協会が令和4年度決算版の経営分析をまとめたが、それによると、営業利益率は0.0%で、利益が全く出ていない状況だ。これは、運送事業の売上比率が80%以上の事業者を対象に312社(1社平均保有台数21.9台)から調査したもので、全体では0.0%だが、車両10台以下になると特に厳しく、15年連続で赤字が続いているという。
営業赤字の割合は全体で56%と半数を超えており、保有車両10台以下の事業者になると65%と、何と6割を超える事業者が赤字に陥っている。中小・零細がほとんどとはいえ、これは明らかにおかしい。「社長自らハンドルを握っている」「家族経営だから何とかなっている」など、水面下ではギリギリのところで踏ん張って、赤字でも継続できる体質を維持するが、取り巻く環境は厳しさを増すばかり。燃料が高止まりする上、車両やタイヤなどにかかるコストは軒並み上昇している。加えて、労働時間の改善と、それに見合う賃金アップによる人件費の上昇がこれからは避けては通れない。現状の赤字を余儀なくされている状況で、果たしてこの苦境を乗り越えていけるのか。社長自らハンドルを握っても追いつかない、家族経営で身内を犠牲にしても、それでも追いつかない、そんな時代を迎えている。
さらなる厳しい環境が予想される中、赤字経営では、目先の対応に追われるだけで、これからを見据えた経営などできるわけがない。業界の健全化、そして発展を目指すならば、事業者の半数が赤字経営というこの異常事態を脱していかねばならない。
この記事へのコメント
関連記事
-
-
-
-
「物流ニュース」の 月別記事一覧
-
「物流ニュース」の新着記事
-
物流メルマガ