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    ドライバーの出世欲 会社のサポート必要

    2015年1月6日

     
     
     

     「出世したくない」と考える若者が多い。一般企業に比べて中小・零細の運送会社は管理職と呼ばれるポストが少ないため、キャリアアップを諦めてしまう傾向にあるようだ。
     大阪府東大阪市の運送会社社長は20年前、苦労して会社を立ち上げ、経営を続けてきた。「出世できない、昇給できないとなると、モチベーションはおのずと下がってくる。当社では年齢に関係なく、意欲のある社員は管理職に就いてもらうようにしている」という。「『出世したくない』と考えるのは、出世できなくても、ある程度の地位と給与が保障されていることが前提となっている。これでは会社は伸びない。個々の能力向上のため、大型車やフォークリフトの資格などのサポートは惜しまない」と、企業側もサポート体制を明確にすることで意欲向上を図っているようだ。


     大阪市天王寺区の運送社長も、出世欲を重要視している。「管理職以外のベテランは給料の面から考えると使いにくい。ベテランになると、自分の考えを押し通そうとして和を乱すこともしばしば。新人もベテランも、もらえる運賃は一緒なのだから」と本音をこぼす。
     一方で、大阪府吹田市の社長は「独立して今の会社を作ったが、部下にもそのような道を進んでほしいとは思わない。事業者数が多い中で新規事業を始めるとなると、他社とは違うことをしなければ勝ち残れない。ドライバーはもともと出世に興味がない」という。その上で、「人材不足といわれているのは会社の数が多く、それに見合った数のドライバーがいない。経営者が増え、ドライバーが不足するという逆ピラミッド状態になっている。おかしな業界だ」とも言う。
     国交省では現在、トラックドライバーのキャリアアップを促進するために、「トラック産業の健全化・活性化に向けた有識者懇談会」で議論している。その中で、意欲や向上心のある若手ドライバーを「トラックマスターズ」と認定することや、営業所などの幹部となりうる熟練ドライバーを「トラックスーパーバイザー」と認定する制度などが協議されている。業界単位での経営者全体の意識の底上げを目指し、平成28年度以降をめどに運用が開始される予定だ。
     大阪府大東市の運送社長は「現在、出世欲のある若手のみを採用していて、20代前半のドライバーが多い。しかし、他社では出世欲のないドライバーがほとんどと聞く。時流に乗らなければ企業はうまくいかないので、『休みを重視する若者』、つまり土日は絶対に休みたいなど、ドライバーのニーズにあうような仕事も見つけていかなければならない。子育て中の女性ドライバーには、できる時間で仕事をするように伝えている」と話す。
     ドライバーの意欲を引き出すためにも、スキルアップできるような企業側の努力も必要だろうが、前出の社長が話した「逆ピラミッド」というコメントに注目。規制緩和の影響が大きいと思われるが、見方を変えてみると、運送業界は出世欲の強い人が多いともいえるかも知れない。

     
     
     
     

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