Now Loading...
 
  • 物流ニュース

    たどりついた物流のかたち 東レの挑戦(下)

    2015年1月28日

     
     
     

     東レ(日覺昭廣社長、東京都中央区)は、物流の〝あたりまえ〟を疑い、発想の転換や新しい視点の導入で、物流を取り巻く環境の変化に立ち向かってきた。物流部だけではなく営業や製造部門、取引先などを巻き込んだ物流改革は各方面に及んでいる。今回は関係各者と連携しながら取り組んだ物流改革の一端を、具体例を交えながら紹介していく。
     運送事業者から「車両確保が難しい」との声があがり始めたのは、一昨年の盆休み以降だった。同11月からは車両手配の厳しい状況が書面で伝えられた。「路線ターミナルを訪問すれば、電話が鳴りっぱなし。一般紙にも〝物流〟の文字が躍る。注目の高さを実感した」と澤野幸男物流部長。物流部のベテラン課長も「こんな状況は今までになかった」と口にするほどだ。何か手を打たなければ――。東レ物流部は立ち上がった。社内では役員や営業へ説明を繰り返し、理解と協力を得るために顧客とも情報を共有した。


    010110.jpg
     2013年3月の東レA工場の出荷状況を見ると、月初から中旬までは一定量で安定していたが、月末に近づくにつれて一気に出荷量が上がっている。14年度はこれらを受け、物流部と営業部が連携して「事前倉移動の推進」「出荷指図の早期入力」「リードタイム、出荷・着日の変更」などを行い、輸送の平準化を実現した。
     現場の実態を知るため、運送事業者に対してアンケートを実施している。質問事項は「昨年・年度末の東レの対応に対する評価」「東レへの要望・意見」「車両手配状況の今後の見通しと課題」など。澤野物流部長は「車両不足を回避するアクションは一定の評価はいただけた」としながらも、「さらなる改善の必要性を感じた」という。
     運送事業者からは「指図ルールの順守・徹底」「出荷元固有ルールや時間指定等条件の再検証」などが求められた。それらの声を元に着手した物流部。A製品の出荷指図締切時間の順守率は79.7%から83.5%に向上。製品のパレット積み付け状態の改善により、B製品の積み付け不良発生頻度は、10分の1程度に減少。C倉庫での積み込みは、場合によっては午後までかかるケースもあったが、午前中に完了するようになった。
     積載率の向上も進んだ。岐阜工場発フィルム製品のトラック輸送では、現場の工夫で積載効率が大幅にアップ。普通に積むと2列しか置けず、さらにデッドスペースが多いために2段積みができなかった。そこで、中央列のパレットに下駄を入れることで空間を埋め、3列・2段積みが出来るように改善。積載効率は3倍になった。その結果、使用車両数は7割削減し、月間43台から15台に。物流費は53%減、CO2排出量は56%減少した。
     愛媛工場の繊維製品は従来、愛媛工場から神戸港までトラックで横持ちし、海外に向けて輸出していた。毎日運行がある神戸港に対し、松山港は週2便。リードタイムという難点を克服し、松山港から海外に直接輸送することで物流費は32%減少した。CO2排出量は、40フィートコンテナ1本当たり神戸港利用時は740kg、松山港利用時では20㌔㌘と、97%の大幅削減を実現している。「物流改革をお客様に納得していただくには、〝環境〟というワードでアプローチすることは有効」と澤野物流部長。これらの取り組みは、環境意識の高い取引先の理解にもつながっているという。
     その「取引先の理解」を得るには、「最も取引先を知る営業の理解を得る必要がある」と澤野物流部長は言う。そのためには関係部署との情報共有・連携が必須。こうして東レグループは、物流改革をにらんだオリジナルの物流教育を展開してきた。営業部員だけでなく、デリバリー担当者、生産現場担当者、関係会社物流担当者に対し、物流費削減の着眼点と合理化の事例紹介や、実務に沿った物流課題のグループ討議、港湾施設を中心とした物流現場の見学を行っている。受講者がそれぞれの仕事を念頭に置きながら物流の現場に触れる。こうした機会が、めまぐるしい環境変化にも対応できる、柔軟性を醸成しているのだ。
     「今後も人材教育・育成による東レグループの総合力を強化し、引き続き、サプライチェーン全体での物流最適化を図っていきたい」と語る澤野物流部長。物流部内に編成された横断的プロジェクトチームでは、先を見据えた検討が今日も繰り返されている。
    121108.jpg
    ◎関連リンク→ 東レ株式会社

     
     
     
     
  •  
  •  
  • 「物流ニュース」の 月別一覧

     
  • 物流ニュース」の新着記事

  • 物流メルマガ

    ご登録受付中 (無料)

    毎週火曜に最新ニュースをお届け!!

    ≫ メルマガ配信先の変更・解除はこちら