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    国交省 下請・荷主適正取引ガイドライン改正

    2015年4月7日

     
     
     

     国交省は「トラック運送事業における下請・荷主適正取引ガイドライン」を改正し、長時間労働の原因の一つである手待ち時間の改善に向け、着荷主の役割についても明記する。
     2月9日開催された「トラック輸送適正取引推進パートナーシップ会議」の第9回会合で示された、日本路線トラック連盟の荷主庭先実態調査報告によると、「1時間以上の待ち時間がある」ケースは、集荷時(発荷主)7.4%、配達時(着荷主)24.5%、配送センター45.2%。「着荷主にまで情報が行き渡らないと、多層構造の根本的解消にはならない。実荷主が着荷主に運送情報を伝えるような仕組みにする必要がある」(小杉紘平委員、富ト協副会長)という意見もあり、手待ち時間の実態がトラック事業者の負担となっていることを踏まえた側面がある。


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     国交省としても「着荷主は、トラック事業者と直接契約をしているわけではないので、〝他人事〟と捉えられがちになる。サプライチェーンの一員だということを認識していただく必要がある」という姿勢で、荷主・元請け・下請け事業者間の問題意識などの共有による適正取引の推進を図るとしている。
     特に、「運送に係る付帯作業の提供」については、「運賃とは、本来は積み込み・積み下ろしの部分のみ。商習慣からあいまいにされてきたが、役務・付帯作業について明確にする必要がある」(辻卓史委員、大ト協副会長)など、以前から問題視する声があった。 国交省としても、改正ガイドラインには既存項目内での内容拡充、発荷主・着荷主の追記を行い、無償意識の改善を図っていく。
     田端浩自動車局長は「運輸事業の生産性向上をいかに進められるかは大きな課題。荷主企業あるいは発注する側からしても、モノが運ばれなければ商品は消費者に行き渡らない。パートナーシップを構築し、引き続き取り組んでいかなければならない」と述べた。
     また同会議では、昨年11月から今年1月にかけて実施した「運送契約の書面化に関するアンケート」(回答事業者数1069事業者)の結果を報告。「書面化が必要」と答えた事業者は72.4%で、改善された事項として「収受する運賃が明確になった」56.0%が最も多く、次いで「付帯業務内容が明確になった」41.4%となった。
     ガイドラインを知る前と知った後の書面化実施率の比較では、実施率が2割以下の事業者は、貸切で約3%、スポットで約8%減少。「8~10割実施できている」と答えた事業者は、貸切、スポットともに約10%向上。「まだ数字としては十分でないが、一定の効果は得られた」としたが、一方で課題も浮き彫りになった。
     適正取引および安全運行確保の取り組みについて「理解している」と答えた事業者は、全体では55.3%だったが、車両台数20台以下の小規模事業者では47%と半数を割った。
     書面化が困難な項目としては、(1)運賃・燃料サーチャージ(2)有料道路利用料(3)付帯業務内容④運送日時の順で指摘する事業者が多かった。書面化が困難な理由の一つとして「運送内容が不明確」であることを挙げているが、不明確なままでは適正取引の確保や輸送の安全を阻害する行為などにつながりかねない。国交省としても「これらを改善するための手段が書面化であり、〝やらなければいけない〟という強い意識を持ち、取り組んでいく」としている。
     辻委員は「書面化を〝やるのが億劫〟ということもある。やるなら徹底的にやるべき」と述べ、山浦正生委員(運輸労連中央執行委員長)は「事業者の話を聞くと、書面化はまだまだ定着していない印象。保有車両20台以下の事業者にいかに焦点を合わせられるかが今後のカギ。足並みをそろえるには〝義務付け〟という到達点を決める必要があるのでは。そのためのロードマップ作成が求められる」と話している。
     国交省は、今後も継続してセミナーなどの開催で周知徹底を図るほか、アンケートを実施し、実態を適切に把握・分析する。また、今年度から初めて発荷主・着荷主・トラック事業者の3者によるモデル事業を行い、書面化、手待ち時間などの改善に向けた課題・改善点を検証していく。
     書面化をさらに推進するためには、物流事業者の求める「関係省庁と連携」「荷主に対する理解促進と積極的なアピール」「定期的なガイドラインセミナーの開催」と同時に、事業者の自覚とレベルアップ、そして荷主にきちんと現状を伝える行動力が求められている。
    ◎関連リンク→ 国土交通省

     
     
     
     

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