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物流ニュース
ドライバーの指導・監督指針 指差呼称義務化
2015年3月14日
国交省は3月11日、トラック運送事業者がドライバーに対して行う指導および監督の指針(告示)の改正概要を明らかにした。初任運転者と一般運転者の指導・監督の指針を統一し、新たに「貨物の特性を理解した運転」「適切な安全装置の使用方法」など4項目を追加。これまで努力義務とされてきた指差呼称についても義務化する。
同日開催の「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」(酒井一博座長、労働科学研究所所長)でトラックの運行の安全を確保するために順守すべき基本事項として、15項目が示された。前回会合で示された素案では、11の指導・監督内容に「緊急時における適切な対応」「事故統計を用いた教育」を加えた13項目とすることとしたが、実施したアンケートの中で「やらなければならないと思うがやっていない」「やっていない」という回答が多かったものについて考慮し、今回新たに「貨物の特性を理解した運転」「適切な安全装置の使用方法」を追加した。国交省もこの15項目を掲げ取り組む。
また、現行の指導・監督で努力義務とされているものの、事業者による教育の実施が徹底されていないとして、指差呼称および安全呼称、また、適正診断の結果に基づいたドライバー個々の特性を把握し指導するよう義務づける。
現行の指導・監督の指針で規定されているものの、事業者による教育の実施が徹底されていない事項についても明文化する。前回会合では「労働時間」「薬物防止」が対象として挙がったが、今回、「運転姿勢の基本」「車両管理に係る規定」など18項目を候補とした。これらは新たな項目として明記せず、体裁は今後詰めていく。
指導・監督について1年間の教育計画を立て、これに基づいて実施する。個々の能力に応じた指導ができるよう、時間や規定は定めない。
初任運転者に対する座学の実施時間は6時間以上としているが、「マニュアル作成と改正告示の内容をふまえ、実態に見合った時間設定を行う」(自動車局安全政策課)としている。また、安全な運転方法を添乗指導するとともに、貨物の積み込み・積み付け方法に関する指導について実車を用いた実技を行い、技能を収得させることを義務付ける。
一般的な指導・監督において、現行もマニュアルは存在するが、「運行管理者向けに作られたもので、内容が難しい」(同)として、よりわかりやすく使い易いものに再編するほか、ドライバーが学習しやすいよう指導・監督の内容を体系的にとりまとめたテキストやドライブレコーダーの映像を用いた教育、E―learningといった教育ツールの開発を行い、事業者および運転者を支援する。
「運転者教育の充実」は、準中型自動車免許制度により18歳から4トンクラスの車両に乗れるようになることから、安全確保の取り組みの一つとして重要視されている。これらを盛り込んだ道交法の一部改正法案が10日に閣議決定し、通常国会に提出された。早ければ6月ごろに成立する。施行は公布から2年後の2017年夏とされるが、2年より短くなる可能性もある。「告示の公布・施行日は未定だが、6月の(改正道交法の)成立を待つのではなく前倒しで仕組んでいかないといけない」(同)としている。
◎関連リンク→ 国土交通省この記事へのコメント
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