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物流ニュース
ウィンコーポレーション 食材流通事業を展開
2015年4月15日
ドライバー派遣事業を展開するウィンコーポレーション(東京都千代田区)は、7年ほど前から食材流通事業を手掛け、いわゆる商社として事業展開している。
具体的には飲食チェーンの本部を支援し、「購買部」のような形で仕入れや物流を代行。プロセスを一元化し、効率化を図っている。現在は1日平均300店舗への食材納入をコントロールしており、新店舗オープンの際の物流構築なども任されている。
同事業立ち上げの経緯について中村真一郎社長(写真)は、「リーマン・ショックで物流系の事業が大打撃を受けたことがきっかけ」と語る。「物流の仕事は荷主次第で簡単に切られる。『下請け』という状態から抜け出したかった。そのためには『運賃』だけで測られない立ち位置、すなわち問屋、商社といった川上のポジションに上がる必要があった」と表現する。
現在、同社がターゲットとするのは5店舗クラスから、50〜60店舗を展開し、売り上げ規模が20億〜60億円程度の中堅飲食チェーン。「この規模は大手卸も手掛けておらず、隙間としてちょうど空いていた」。
食材流通事業を担当する藤川俊祐執行役員も、「もともとは『運ぶ荷物を作ってしまおう』という発想だった」と振り返る。「食材は食べたらなくなり、必ず仕入れが起きるが、ただ『運ぶ』だけではこれまでと同じ。どう付加価値を付けていくかを徹底的に考えた」という。
そこで着想したのが物流に紐づいた受発注や在庫管理、すなわち店舗のバックヤード業務への展開だった。「システムを入れて改善すれば、たとえば『今までは1ケースで来ていたものが、実は1パックごとの方が管理しやすい』といったことも分かる。要は、『どの商品を、どれだけ仕入れるべきなのか』というプロセスを整理・集約し、シンプルなスタイルに仕上げていく」という仕事だ。
「当社が入ることで、チェーン本部は店舗をコントロールしやすくなる。1社では調達しづらい食材も、我々が複数の発注をまとめることで仕入れが可能になる」とも。「購買、店舗運営、人材と、何で一番困っているかは各社で異なる。まずは悩みを聞き、商品知識を持った上で物流とセットで提案している」という。
顧客の飲食チェーン、問屋、資材メーカー、そして物流の「調整弁」と自社の役割を表現する同社長。「3PL事業者は自社の利益が優先で、問屋は利幅の大きい商品を卸したいという考えがあり、なかなか当社のような役割を担えるプレイヤーがいない。この役割は『自分だけ良ければ良い』という発想ではできない」。
同事業では利益をオープンにし、各プレイヤーの取り分を明らかにする「オープン帳合」を採用。「透明化されており、プレイヤー同士はイコールな関係。最も川下の物流に赤字を押し付けられるようなこともない」という。
もちろん、物流にも手を加える。「ランチ前の午前着にしている食材も、夕方納品にすれば単価を下げることができる」など、商品の特性や着店の都合を細かく把握し、一つずつ調整していく。「店側にしてみればワガママに聞こえるかもしれないが、『それだけのメリットを提供する』として納得してもらっている」。
人手不足という課題に対しては、本業である人材派遣部門が対応。「あらゆる課題に対して、ワンストップで対応できるのが強み」だ。車両に関しては「極力、自社で手配しているが、協力会社にも委託している」とし、その際は「エリアごとの食品に強い物流会社にお願いしている」という。
中村社長は、「全てがケースバイケース。立地や業態などが異なれば、当然、内容も違う。1チェーンのスキームを組み上げるのに最低で数か月はかかるため、はっきり言うと面倒な仕事」と笑う。事業は好評を博し、数社に待ってもらっている状況。増加する一方の仕事量をカバーするために、「信頼できる協力会社を増やしたい」と展望する。
◎関連リンク→ 株式会社ウィンコーポレーションこの記事へのコメント
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