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    メンタルヘルス対策の実情 中小では対応に遅れ

    2015年7月17日

     
     
     

     近年、メンタルヘルスの不調を訴える労働者が増えている。うつ病などの精神疾患は「怠け癖」と勘違いされることも多く、中小企業ではまだまだ対策が遅れている。しかし、長時間労働などの労働環境の問題では、労働紛争の原因ともなりかねないため、事業者は対策を検討する必要がある。各社のメンタルヘルス対策の実情を聞いた。
     厚労省が発表している平成25年度の「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」では、精神障害の労災請求件数が1409件(前年度比152件増)と過去最多を記録している。労災を請求している年齢層は、20〜39歳までのいわば「働き盛り」の年代が約850件と過半数を占めている。
     近年では、従業員のメンタルヘルスと企業実績との関係性を示す調査研究もある。それによると一般的に、企業規模が小さくなると総労働時間は長くなり、サービス残業も多い傾向にある。また、病気休暇制度が不十分で、メンタルヘルスに問題が発生すると退職につながる割合が高い可能性がある。さらに多少のタイムラグはあるものの、メンタルヘルスの不調で休職する従業員がでると、売上高や利益率にマイナス影響を与えるという調査結果もある。


     大阪府東大阪市の事業者社長は「ミスが発生した際に従業員を叱っていたら突然、泣き出してしまった。近年、うつ病などの精神疾患を抱えるドライバーの話を聞くこともあり、うかつに叱ることができない」と頭を抱えている。「昔は厳しくするのが当たり前だったが、最近では携帯電話などでのコミュニケーションが増え、直接対話を苦手とする人が多い。対策は難しいが慎重に対応していく」と話す。
     一方、大阪市西淀川区の事業者では、業務のIT化で効率化を図り、短縮した時間を従業員とのコミュニケーションの時間に当てている。「実際に話をしてみなければ、従業員の些細な変化を見逃してしまう。また、ストレスの原因は必ずしも仕事とは言えず、家庭環境や金銭トラブルなど従業員はさまざまな悩みを抱えている。日々の会話の中で早期に問題を見つけていく」という。社内のコミュニケーションの充実も、一つのメンタルヘルス対策と言える。
     メンタルヘルス対策は、コンプライアンスなどの企業イメージに影響するだけでなく、限られた労働人口から人材を確保し、活用するためにも近年、重要性が高まっている。従業員の意欲の向上、企業イメージの向上など、従業員と会社双方の質を高めるためと考えるべきだろう。
     今年12月から、従業員50人以上の事業者を対象に1年に1回以上のストレスチェックの実施と事後対応が義務付けられることから、メンタルヘルス対策を本格的に考え始めている事業者も多いが、中小事業者の声としては、「何に取り組んでいけばよいのか分からない」「必要性を感じない」という意見が多かった。何より、経営者がメンタルヘルス対策に理解を示さなければ、対応はますます遅れていく。労働集約型産業で、人の力に頼るウエートが他の業種よりも大きい運送業。人材確保という点からも今一度、労働環境の整備を進めることが、メンタルヘルス対策にもつながるのではないだろうか。

     
     
     
     

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