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物流ニュース
丸全昭和運輸 浅井社長 会社を挙げて課題研究(下)
2015年7月3日
平成13年4月、関西支店長に就任した浅井氏は、住み慣れた愛知県を離れる。また、同年6月には取締役に就任する。平成24年の社長就任まで、常務取締役、営業本部長、専務取締役を歴任し、関西支店、東京事務所、横浜本社へと活躍の場を移しながら同社の中枢で手腕を振るった。
平成20年のリーマン・ショックをはじめ、経営環境が大きく変動した時期に営業責任者を務めることのプレッシャーについて、「物流の100%を当社が担っているわけではない。景気の変動はシェアを拡大することでカバーできる」と話す。その言葉を裏付けるように、同社はリーマン・ショックによる大幅な売り上げダウンを経験したにもかかわらず、悲願の連結売上高1000億円超を目前に控えるまでに回復した。
同社は現在、「MLPレボリューション1000計画」の名のもと、第五次中期経営計画に取り組んでいる。3PL事業、グローバル物流事業の売り上げ拡大やM&Aによる新たな事業領域への参入を図る。計画を実行するにあたって、物流機能、情報システムの強化とともに、同社が力を入れているのが人材の育成と活用だ。浅井氏が社長就任の際に第一に掲げたのが「人材の強化」だった。同社では、新たな事業領域である消費財物流の分野を中心に女性活用についても積極的に進めていく方針だ。
こうした将来に渡る課題を解決するため、会社をあげて研究を進めている。そのひとつが「MJBM(丸全ジュニアボードミーティング」だ。同氏が座長を務める社内研究グループで、1期生は課長クラス、2期生は入社4~5年の若手社員が参加し、若手社員が経営者になったつもりで10年後の丸全昭和運輸の課題について研究している。2期生には「新撫子」という女性だけのチームがあり、物流業界で女性の人材活用に関して研究を行っている。社内だけではなく、取引先の女性担当者を招いて交流会を開催するなど積極的な活動を展開している。「現状、物流業界では女性の活躍の場が限られているが、将来のために必要な研究」と浅井氏は強調する。
「すべての判断の基準は丸全昭和にとって良いか悪いか」と語る同氏は、自身の役目を駅伝のランナーにたとえる。「日本電産、ソフトバンク、京セラといった創業オーナーがマラソンランナーだとすれば、私は駅伝のランナー。84年の歴史を継承しながら、出来る限り業績を伸ばし、会社を成長させて次の人にたすきを渡していくことが使命」と語る。
同氏が座右の銘としているのが、夏目漱石の「真面目とは行動すること」という言葉。物流業務を自社で担うアセット型3PLへのこだわり、現場力こそが強みという同社を体現した言葉といえる。先人から受け継いだ精神を胸に、次の大きな節目である創業100周年を目指し、さらなる飛躍を目指す。
◎関連リンク→ 丸全昭和運輸株式会社この記事へのコメント
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